うさぎドロップ
Victim Of Changes
人気コミックを原作に、人気・実力を兼ね備える今が旬な二人を主演にすえた、とてもわかりやすい企画です。
このストーリーの場合、見ず知らずの二人が日々の小さな出来事の積み重ねの中で、いかにして心を通わせていくか。その課程をどれだけ説得力を持って描けるかどうかが成功のカギとなるでしょう。
その点でいえば、この映画は黄色信号です。
確かに毎日の保育園の送り迎えは大変でしょう。それは『毎日』だからゆえの大変さでもあります。しかし、映画の中であれだけしつこく繰り返さなくてもよいのでは。
松山ケンイチを疾走させて動きのあるシーンを撮りたいのはわかりますし、見て楽しくはありますが、何度も反復するくらいなら、もっと別のエピソードを描いた方が効果的だったかもしれません。
時間の無駄使いといえば、グラビアの中に入り込むダイキチの妄想シーンも、繰り返しすぎですね。一度なら面白くても、本来ストーリーに関係ないシーンなのですから、あれだけ繰り返す必然性がありません。確かに松山ケンイチと香里奈をドレスアップさせて、凝ったセットの中で絡ませたいのはわかりますけれど…
発熱や失踪(?)という、子供もの映画での定番の大イベントは押さえているものの、もっとじわじわと小イベントで積み重ねていかないと、ダイキチとりんの心境の変化を観客に伝えることは難しいでしょう。
限られた上映時間を何に使うか。原作からの取捨選択が上手くいかなかったような印象です。
それでもなんだか映画として観れてしまうのは、主演の二人におんぶにだっこするという安易な企画が、安易ゆえにそれなりの成果を上げているということなのでしょうか。
本当は、よいキャストに恵まれたのなら、脚本や演出もよいものを用意して、さらに上を目指してほしいものですが。
映画はキャストだけで創るものではないのですから。
72/100
#350
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