BIUTIFUL ビューティフル
Race With Devil On Spanish Highway
「仕事も家庭もトラブル続き。何もかもが上手くいっていない男がいる。
そしてその男が突然、余命2か月の宣告を受ける」
普通の映画だったら、「周囲の様々なもののありがたさに気づいた男は、感謝の気持ちを持つことにより周囲との関係を改善していき、安らかな最期を迎える」といった感じのストーリーになるだろうか。
そして、この映画はそうはならない。
確かに死を目前にして全てが好転していくというのは、ご都合主義的な展開ではある。現実はそう簡単にはいかないからだ。
でも、じゃあこの映画がリアルであるか、現実的であるかといえば、それもまた違う。
死を目前にして全てのものが破綻していくというのもあり得ない。現実はそんなに難しすぎることもないからだ。
この映画の展開は、監督がなんらかの意思をもって創り上げたものなのだ。
この映画はストーリーだけでなく、それを構成するあらゆる物が、不調和で不整合で、簡単にいえば『居心地が悪く』できている。
世の中はきれいなものばかりではないけれど、この映画が映し出す世界のディテイルはあまりに乱雑で不潔だ。多用されるハンディカメラ映像の安定しない視点も、その乱雑さを強調する。人の視線が不安定で移ろうように、この映画のカメラも不必要なほどに不安定だ。
環境音も世界を演出するというには耳障り。音楽もどこかピッチが狂っていたりひずんでいたり、音のバランスが悪かったり。
同じ監督の『バベル』も全く同じだった。現実のこのような側面を強調して組み上げていくことで、監督は何かを表現しようとしているのだろう。
ただ、そんな監督の意図に想いをはせる以前に、観ていると疲れてきちゃうんですよ、この人の映画。生理的に合わないってこういうことなんでしょうか…
76/100
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