トゥルー・グリット
Screaming For Vengeance
ほぼ一週間ぶりに映画館が再開しました。
映画館にとって停電は致命的。停電の隙間を縫っての営業です。
まだみんな映画を観る心境ではないかな、と思っていたけれど、ふたを開けてみればビルからあふれるほどの行列。
社員の人達は大変そうだったけれど、きっと批判を覚悟での営業再開だっただけに、この行列はうれしかったはず。
最近はどこへ行っても行列です。電車も、バスも。スーパーも。今日はチケットを買うために40分ほど並びました。映画館で並ぶなんてほんとうに久しぶり。ひょっとしたら『ジュラシック・パーク』以来かもしれません。
でも映画館での行列は、なんだかそんなにイヤじゃないのです。みんな映画が観たくて朝からわざわざ集まっている。それに応えようとするスタッフだって一生懸命です。映画を求める人、与える人。みんなきっと仲間なんです。そこにいる何百人の人達みんなが「今日ここに映画があってよかったなぁ」と思っているからなんでしょうね。
さて、今日の映画はコーエン兄弟監督の『トゥルー・グリット』です。
コーエン兄弟は『ノーカントリー』と『バーン・アフター・リーディング』しか観たことがありませんが、どちらも好きではありません。映画としての質は高いのに、なんだか変なひねりがある。そしてそのひねりが、結局のところ面白さや驚きではなく、単なる監督の自己満足に感じてしまうところがイヤなのです。だから『監督コーエン兄弟、製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ』というのは、自分的には水と油、あり得ない組み合わせのように思えてなりませんでした。
そして本作は、どこをどうとっても『普通に』おもしろい、とても魅力的な映画となっていました。主役の3人のぎくしゃくとした珍道中がよい。特に14歳のヒロイン、ヘイリー・スタインフェルドが絶品。彼女はクレジット上は助演的扱いですが、彼女のキャスティングなくして本作の成功はありえなかったのではと思わせる存在感です。
製作総指揮という仕事が、どれくらい映画に影響を及ぼすものかわかりません。でも『トランスフォーマー』や本作をみると、自己中やひねくれ者に『エンターテインメントの神様』が及ぼす影響というものを強く感じてしまうのです。
本作で言えば子役や動物の使い方の上手さ。ラストのファンタジックすぎる星空のもと、少女の命を助けるために疾走する保安官とリトル・ブラッキー。
そんなところに『カラー』を見たと思ってしまうのは、ちょっと考えすぎですかね。
とにかく、本年のアカデミー賞でかすりもしなかったことからもわかるように、本作は誰もが楽しめる第一級の娯楽映画です。
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