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My Name Is ...
サスペンス映画を考えたとき、観客の視点の拠り所となるようなキャラクターを、主役として設定するのが常道です。そのキャラクターの感じる混乱や恐怖を観客に共有させ、そのキャラクターの危機からの脱出でカタルシスを与える。
この映画でいえば、デップ扮するフランクがその役割を負うのが普通だろう。謎の美女に魅了され、謎めいた事件に巻き込まれる。まさにうってつけ。最後のオチだって、観客がフランク視点であればあるほど、その破壊力も増すというものです。
しかし思ったほど、映画は『フランク寄り』ではない。ジョリー扮するエリーズ側からの描写もかなりの量を占めているのです。
わからなくもないですけれどね。この映画は『二大スター、世紀の競演』が売りですから。観客も両方観たいわけです。でもそれによって、騙す方と騙される方、両方の視点からストーリーを見て行かなくてはならないという、すこし中途半端な状況になってしまったかもしれません。
まぁでも、そんなことはどうでもいいのです。
最初の執務室では気がつきませんでしたよ、メガネかけていたので。
冷酷なコネリーも、おちゃめなムーアも、伊達男ブロスナンも、存在感の薄いレーゼンビーだって、みんな好きですよ。
しかし、内気でシャイで、もっとも心優しきジェームズ・ボンド。ティモシー・ダルトンが私は大好きです。
MI6でなくて、今回はスコットランドヤードだけれども、まぁいいです。
なにより、元気そうじゃないですか!
彼こそが本物の、女王陛下の諜報部員。
本作でもっともヴェニスにふさわしい男なのです。
22/100
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