Gary Moore
1952-2011
最初に、謝らないといけないですね。
ぼくは、決していいファンではありませんでした。
でも、それだけショックだったんですよ。あのハード・ロックとの『決別宣言』は。
まるで自分たちが拒まれたかのように。裏切られたかのように。
だからぼくの中のあなたの音楽は、1989年から止まったままなのです。
でも、今なら少しはわかるような気がします。
たぶん、あなたはジェフ・ベックのような、自由なギタリストになりたかったのでしょう。
でも、あの頃みんなが期待したのは、リッチー・ブラックモアやマイケル・シェンカーのようなギター・ヒーロー。
窮屈だったろうし、また周囲の意に染まない期待が煩わしくもあったでしょう。
それがおおきなフラストレーションにもなったでしょう。
ぼくたちが頑なにハード・ロックを求めなければ、あなたも頑なにハード・ロックを拒むことはなく、ひょっとしたらブルースとハード・ロックが交互に創られるようなこともあったかもしれませんね。
でも今となっては、もう、どうしようもないことです。
初めて聴いたときのことは、今でも覚えていますよ。
FMラジオで聴いた『Always Gonna Love You』
ピアノのバッキングを切り裂くように轟くディストーション。
天を駆けるような伸びやかなギターソロ。
『エレキギターって、なんて綺麗なんだろう』
ノイズの固まりのような荒々しさと、水晶のような儚い美しさ。
まさにハード・ロックの、エレキギターの魅力を象徴するような、あなたのプレイ。
残念ながら一度もライヴを観に行くことはできませんでしたが、残してくれたたくさんのギターは、チョーキングもヴィブラートも、マシンガンピッキングもアーミングも。そのサウンドの息吹のひとつひとつは、ずっとずっと一緒です。
さようなら。
ゆっくり休んで。
休んだら、またギターを弾いてください。
きっとベースを持って、フィルが待っています。
Forever, Blood of Emeralds
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