ロビン・フッド
『魔術師』健在
リドリー・スコット+ラッセル・クロウの歴史物。
『グラディエーター』というよりは『キングダム・オブ・ヘブン』の主役をラッセル・クロウに差し替えたというほうがイメージは近いかもしれない。
しかし本作では、スコット作品では珍しく主演女優が大きくフューチャーされている。それがまた本作のイメージにぴったりすぎる、ケイト”エリザベス”ブランシェットである。
物語の前半は、ラッセル&ケイトのいかつい(笑)カップルと、ケイトの父親マックス・フォン・シドーの超特濃一家によるドラマが中心。戦争アクションという期待を裏切りつつもさすがは名優ぞろい。あきる暇もない。
そして後半が、イングランド一致団結してのフランス迎撃戦となる。
冷静に観てみると、俳優の演技はよいもののストーリーは平凡だし、最後の戦争シーンも『キングダム・オブ・ヘブン』と比べたら、かなりスケールダウンしている。
しかしそれは、「冷静に観て」みれば、の話だ。
その圧倒的な映像美。とても冷静には観れなかった。
森も山も、海も崖も。霧も雲も、土埃も水しぶきも。あらゆるシーン、あらゆるカットが美しい。どんな映画でも映っているものなのに、なぜ、リドリー・スコットが撮るとこんなにきれいなのだろう。
戦闘シーンで用いられる接写だって。『ボーン・アイデンティティー』あたりから流行はじめて、最近ではすっかり定番の技法。どうしても手ぶれが多くなり(それが臨場感を高めているのだけれど)、映画によっては酔ってしまうこともあるけれど、本作では手ぶれまでもが美しい。
もちろんCG補正も多用されているだろうけれど、基本はそこに実際にあるものを、カメラのレンズを通して映しているだけ。それだけなのに、なぜ他の監督とはこんなに違うのか。よく大物監督のことを『巨匠』というけれど、本当の『巨匠』とはこういう人のことをいうのだろう。
『グラディエーター』ではその映像美が流血シーンのリアルさに繋がってしまっており、見る人を選ぶ面もあったけれど、本作では直接的な描写はほとんどない。
そういう意味でも多くの人にお勧めできる、リドリー・スコットの芸術的映像美が楽しめる良作品だと思います。
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