ノルウェイの森
村上春樹の映画化?
ほんとうに、お疲れさまでした
普通の小説は、環境を描写してそれが主人公に及ぼす影響を読者に理解させ、主人公に対する理解、さらには共感へとつなげていく。それは往々にして、読者が主人公に共感することが、小説としての成功につながるからだ。みんなが「面白い小説だ」と感じるのは、みんなが共感できる小説であることが多いからだ。
でも村上春樹の小説は違うのだと思う。彼の小説の主人公の心情は、必ずしも環境とはリンクしない。だからいくら読者が小説の中の環境を読解していっても、それが主人公への共感にはつながらない。主人公の行動を理解する鍵が環境の中にほとんどないのだ。
では村上主人公への共感はどこから生まれるのか。それはたぶん、村上小説を読みこむことからではない、それは読者が持って生まれたものから。読者がこれまでに育んできたものから。端的に言ってしまえば、『わかる』人と『わからない』人に読む前から分かれてしまっているのではないだろうか。
村上小説の賛否両論。その理由はこんなところにあるような気がしてならない。
だから村上小説を映画化するのは、本当に勇気のある行為だと思う。
だってそうでしょう?どんなに原作に忠実に映画化しても、どんなに美しい映像でストーリーを綴っても。いくら努力したって(いや原作の再現に努力すればするほど)、観客の中の少なからぬ人々にとっては『共感できない』『意味不明』。決して映画として平均点はあがらないのだ。
それは誰のせいでもない。強いて言えば、それが『村上春樹』だということだろう。
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