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2010/11/27

おくりびと

Oku1 Walking In The Shadow Of The Blues

『納棺師』というあまり一般に知られていない職業を取り上げた映画だけれども、実はそれほどその職業の細部や、その特殊性について踏み込んだ場面はない。
納棺師が影のように寄り添い、立ち会い、見送るたくさんの『死』。その『死』のありさまを繰り返し繰り返し描くこと。食事のシーンと葬儀のシーン。その二つを交互に繰り返し、食べることと同じように、死ぬことも人の生きていく過程におけるリズムの一つでしかないこと。
『死』は誰にとっても特別なことだけれど、でも本質的にありふれたものであること。
それを納棺師の日常を通して描いたのがこの映画だと思う。

だから、意図的に盛り上げようとする感動シーンはそれほど多くない。
しかしそれでも、何度も繰り返される様々な葬儀のシーンでは、短いシーンの中に凝縮される故人と遺族のドラマが胸をうつ。それは演技や演出の素晴らしさのせいでもあり、またそこにあるのが自分たちのドラマと同じものであるからだろう。

映画として(作り物として)感動的なドラマを創り上げるのではなく、誰もが経験した、そして経験するであろうありふれたドラマをやさしく再現する。その感動は作り手のもたらしたものではないかもしれないけれど、それを再現するテクニックは間違いなく作り手のものである。

そんなこの映画において、大悟が弾く楽器がチェロであることには必然性がある。
音楽においてチェロが担うのも、人生において『死』が担うのも。
どちらも決して途切れることのない、通奏低音であるからだ。

#264

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