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2010/11/22

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1(IMAX)

Poster1 In The Future To Come

昔、映画館で映画を観るということは特別なことでした。最新の映画は一部の大都市でなければなかなか観ることが出来ず、朝早く出かけ、チケット売り場で並び、さらに入場するために館内でも並ぶ。そして熾烈な座席争奪戦を経て、やっと映画が観られたのだ(場合によったら立ち見で)。『スター・ウォーズ』も『E.T.』も『レイダース』も。みんなそうでした。

あの頃から30年。映画館はシネマ・コンプレックスに姿を変えて、観客の住む街にやって来た。それも一か所で10数スクリーンもの別々の映画が公開されている。チケットだって全席指定で、なおかつ自宅にいながら好みの座席を予約できてしまう。昔映画を観るために乗り越えなければいけなかった苦労は全て消滅。映画は昔よりずっと、カジュアルになりました。

21世紀は決してバラ色の未来ではなかったけれど、こと映画に関しては夢の世界。行きつけの喫茶店にちょっと寄ってコーヒーを飲むように、気軽に行きつけの映画館で映画が観られる。映画を楽しむために映画館に行くのと同時に、映画館に行くこと自体を楽しんでいる自分がいる。

そしてそんな行きつけの映画館にIMAXがやって来た。この不景気なご時世に、わざわざ高額な設備投資のリスクを負って。
客としてその努力に報いるには、ただお金を払って観てあげることしかできないけれど、本当に夢のまた夢をかなえてもらったようです。

もちろんそこまで画面が鮮明でなくても、そこまで音がよくなくても、映画は映画、おんなじです。でも、大げさに言ってしまえば、『文化』ってそういうものです。街に本屋さんや映画館や音楽ホールがあるかどうか。本屋さんは雑誌だけでなく、ちゃんと品揃えをしているかどうか。映画館はよい映画をよい環境で見せるための努力をしているか。そういった積み重ねが地域の文化を底上げし、そこに住む住民の生活のクオリティを間違いなく上げているのだと思います。

だからすごく感謝しているのです。

そろそろ少しは、ハリー・ポッターの話もしないと(笑)。
出来は、相変わらずです。過去のシリーズ作同様、安定したよい出来です。
『炎のゴブレット』以降続いている、原作の再現にこだわらず、一本の映画としてのまとまりを重視した制作方針も同じです。

映画化が難しいほど長大な原作を、10年に渡ってここまでちゃんと創り上げるのは、並大抵のプロデュース力ではないでしょう。原作に対するリスペクトと、映画づくりに対する真面目さ、誠実さの結晶だとしか思えません。

その真面目さの表れかもしれませんが、直前になって本作の3D化は見送られました。しかし、すくなくてもIMAXで見る限り、その描き込まれた美しい画面は絶品です。もしかしたら、美しさではIMAX3DよりノーマルIMAXの方が上かもしれません。

そして本作の特徴は、主役の三子役(もう『元』子役ですね)が、出突っ張りで映画を引っ張っていることです。まるで三人の映画であると言ってもいいくらいに。他の要素を全て切り捨てたかのように。

公私ともに、この映画が『育てた』三人です。
ハリー・ポッターの制作チームには『教育部門』があって、撮影の合間に本物の教師が授業を行っていたと言います。そして撮影では、並み居る大物英国人俳優が、身をもって多くのことを教えたことでしょう。

そんな三人が演じる、無人の荒野の逃避行。地味で陰鬱だけれども、この映画が大きな収穫の時を迎えていることが実感できる。
全てが上手くいっている。
いつも思うけど、シリーズものとしてここまで幸せなシリーズってないな、と思います。

#263

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