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2010/10/30

SP 野望編

Sp Mickey mouse in action

『CGに頼りすぎ』と非難される映画がある。最近なら『アバター』や『トランスフォーマー』なんかがそうなのだろう。
でもこれらの映画はCGでなければ表現できないものを表現している。いわば『攻めのCG』だ。
一方、『逃げのCG』というものがある。ちょっと火薬やガソリンを使えば実現可能な爆発や炎上なのに、CGで炎を書き込むことですませてしまう。本作をはじめ、日本のアクション映画にはこれが多い。部屋の一つ、家の一軒くらい何とかならないものか。本当に気持ちが萎える。こういった映画こそ、『CGに頼りすぎ』と非難されてしかるべきだろう。

まぁ、それはいいでしょう。多分面倒くさいのでしょう。役所だってなかなか認めないし、消防車やらなにやら手配も必要。申請書類も山のようなのでしょう。日本でカーアクションや爆発炎上を撮ろうとしたら山奥の採石場になってしまうのでしょう。
しかし、それにしてもこの緊張感のなさはなんなのだろう。
この映画のハイライト、テロリスト集団による官房長官襲撃。テロリストからまったく殺意が感じられないのはなぜなのだろう。

そもそも殺す気があるなら、あんな襲撃方法があるだろうか。
第一波 素手と消火器(?)
第二波 ナイフ
第三波 ダイナマイトとボウガン(笑)
第四波 スナイパーライフル(やっときた)

だんだんグレードアップして盛り上げようという気持ち。ヴァリエーションをつけて観客に喜んでもらおうという心意気なのでしょうね。
でもふつう、最初から銃器使いますよ。手に入らないわけじゃないでしょう、国家権力と通じているんだから。ボウガンなんて、普通は音をたてたくないときに使うのですよ。ダイナマイトと一緒に使うバカがどこにいるのでしょう。

ただ本作の場合、この愚かなテロリストには必然性がある。
SPが弱いのだ。なぜかSPは銃器を使わない(持ってはいるので「撃たない」が正しいけど)。ひたすら素手で向かっていくのが本作のSPたちです。
ドラマ版を観たことがないので、ひょっとしたらこのシリーズのSPは銃を撃ってはいけないという設定になっているのかもしれない。構えるところまではOKだけれど、発砲は禁じられているのかもしれない。予告編でも岡田准一がびしっと拳銃構えるシーンがありますが、撃ちはしません。ただ見送っているだけです。

だからテロリストも使わないのだろう。使っていたらSPも官房長官も簡単に死んでいたはず。それじゃ映画になりません。
『大義のための革命』が夜道で官房長官襲うことだというのもびっくりしますが、それはもうこの際いいとしましょう。
でも、こんな両者の戦闘シーンは、ほんとーにつまらないものです。

そうか。きっとミッキー・マウスと同じなのかもしれません。
愛されるジャニーズアイドルは、たとえ映画の中であっても人を射殺したり、刺殺したりしてはいけない。殴って蹴って気絶させて手錠をかける程度がギリギリなのかもしれません。
だから敵たちも、強力な武器を使うわけにはいきません。使ったら彼が傷ついてしまいます。
そう考えると、女性や子どもを笑顔で惨殺した稲垣吾郎や、年末には波動砲でたくさんの敵を殲滅するであろう(これは相手が宇宙人だからOKという可能性もありますが)木村拓哉はすごいなぁ。さすが先輩たちはリミッター解除です。

次はぜひ、アクション映画は稲垣吾郎主演でお願いします。

#260

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
映画について気になったのでコメントさせていただきます。

映画に出てきたテロリストは官房長官を殺す気はありません。
少なくともそれは目的ではない。
だからあのような行動を起こしたのです。

それを伝えられなかったのなら、それはそれで映画として失敗なのかもしれません。
でもそれに気づいていただきたかったです。

もし気づきたいと思われるのなら、ドラマを熟視してから是非もう一度映画を熟視してください。
この物語に秘められた深い奥底が見えてきます。

投稿: みみ | 2010/10/31 00:46

みみさん コメントありがとうございます。

そうですね。
もし官房長官がターゲットでないとしたら、真実のターゲットは井上だったのかもしれません。
映画の中では説明がなかったので、単に勘がよいだけなのか、短時間の予知能力を持つのかわかりませんでしたが、もしその井上の能力が、尾形たちの計画の邪魔になりかねないほど強力なものであるならば、味方にならぬのならば「排除」ということもあるでしょう。
映画の中では単に「目障りだ」としか表現されていませんでしたが、それはそれで大きく想像力をふくらませれば推測はできると思います。

ただあのテロリストの様子をみるかぎりは、ひょっとしてだれも殺すつもりはなかった、つまりSPに撃退されることこそがテロリストの目的だったのかもしれません。あの様子からは、井上を殺そうという意思さえも感じられませんでしたから。単にテロリストが押し寄せ、SPに撃退されるだけでも、国民に危機意識を目覚めさせ、SPの重要性を認識させることはできるかもしれませんね。たとえ八百長試合であっても。

どちらにしても、その『秘められた深い奥底』というものが今の時点で見えてこないことが、映画の面白さを左右したのではないとおもいます。続きの作品がありますし、万が一2本観て分からなかったとしても、まぁ『気づいている』ファンの人向けの映画だったと思えばいいことです。

我慢ならないのは、アクション映画としてのどうしょうもない緊張感のなさです。恐ろしくないテロリストたちです。それは『秘められた深い奥底』ではどうにもならない、深遠な背景設定では補いきれない致命的な問題だと思います。

もちろん奥底が『そもそもSPはアクション映画ではないし、だからハラハラドキドキを求めるのはお門違いだ』ということであれば、それは私の想像を遙かに超えていますけれど。

『革命編』を楽しみにしています。

投稿: starless | 2010/10/31 10:10

はじめまして。

『緊張感のなさはなんなのだろう』
目が覚めるようなご意見ありがとうございます。
ドラマを見ていない方の感想を知りたかったので
とても参考になりました。
是非、テレビシリーズを未見のまま『革命編』を
見ていただきたく。

私はアクションには全く興味はありませんし、
そんなわけですから、金城さんや岡田くんたちのいう
こだわりが、理解できずに困っています。

アクションの前に辻褄の合う、ご都合主義で無い
物語を見たいと思うので。
とはいえ、襲撃者たちに殺意の演技ができてい
なかったというのは致命的ですね。

『革命編』で何をどう畳むのか、楽しみです。

投稿: sintaro | 2010/11/04 00:15

SINTARO さん コメントありがとうございます。

これが映画の2作目とかであるならば「どうせ観に行くならばレンタル等で前作を観ておこう」という気にもなるのですが、さすがにテレビドラマとなると量が多すぎますね。このまま革命編となるのは間違いないでしょう。

確かにいろいろと出演者などにはアクションへのこだわりがあるようですね。そしてたぶん、SPのお仕事『動く壁』ということを考えると、この映画のアクションはリアルなものなのかもしれません。
きっと実際は、犯人を制圧する専門の部署があるのでしょう。つまりこの映画のようにSPのみで要人を守るという状況があり得ないことなのかも知れません。盾は剣があってこそ役にたつもの。盾だけしか持っていなければ、いつかは負けてしまいます。

そしてアクションは本物だったかもしれませんが、アクション映画という『嘘』がつけなかった。
アクションにはこだわれたけれど、アクション映画にはこだわれなかった。
正直故に、観客を楽しませる嘘がつけなかったのがこの映画かもしれません。

投稿: starless | 2010/11/04 10:11

ありゃあ井上を殉職させようというのが狙いだったので(第一波で発砲したとき、官房長官に向けてではなく井上に向けて発砲してたし)テロが目的ではなかったんですよ。

投稿: | 2010/11/04 18:51

コメントありがとうございます。

そうなんですか。
あの犯人ではとても井上を殉職させることはできなそうだったので、そうだとは気づきませんでした。
黒幕の人選ミスだったんでしょうね。

投稿: starless | 2010/11/04 23:51

SPのドラマを最近一気に見て、明日映画館行くか迷ってるところです。参考にさせていただきました。振り返るとドラマでも、岡田准一のアクション見せるのが目的な気が…
それなりに面白いですが。
ロボコップとオーメンを子供の頃に見たのにストーリー忘れてました。そんな私が面白いと思う、「処刑人」の感想がないのが気になりました。

投稿: から | 2010/11/05 22:30

やはり、エンターテインメントの真髄は、騙しのテクニック(褒め言葉です)なのでしょうか。
アニメとか特撮ヒーロー物と思えば、色々合わない辻褄も頭の悪い敵役も有りなのかな?と、最近は思います。

投稿: sintaro | 2010/11/05 23:32

からさん、コメントありがとうございます。

「処刑人」ですか。確かに観たことがありません。
子どものころから映画は好きだったのですが、途中で10年間くらい、ぱったりと観なくなっていた時期がありまして、ちょうどそのころの映画のようですね。

機会があったら、ぜひ観てみようと思います。

ありがとうございました。

投稿: starless | 2010/11/06 09:36

>SINTARO さん

好みによるみたいですね。
「騙し」がどうにも気になってしまう人も少なからずいるようです。

私はもともと007が好きだったりするような「騙され好き」です。どうせ観るなら、現実ではあり得ないようなものを観たいタイプですね。


投稿: starless | 2010/11/06 09:44

私は、ドラマから見てたので
映画も充分楽しめましたよnote


ドラマでは謎が多かったので
映画で少しずつ種明かしされていくのも良かったし、これからの展開も気になります。


ジャニーズタレントだから
殺すシーンも殺されるシーンも演じないっていうのは違うと思います。
SPは、命を守る人達なので
テロリストの命も守る。
攻められても、自分達から攻撃しない防御するということじゃないでしょうか?

投稿: ミミ | 2010/11/07 21:37

ミミさん コメントありがとうございます。

>ジャニーズタレントだから…

これはさすがに邪推だとは思うのですが、
そうとでも考えないと理解できない
不可解なアクションシーンでした。

でも、

>SPは、命を守る人達なので
>テロリストの命も守る。

これは目からウロコですね。
テロリストもSPの革命派(?)から雇われたのだとすると、
同じくテロリストも実は井上たちの命を守ろうとしていたのかもしれません。

そう考えると、あの戦闘シーンも納得ですね。

投稿: starless | 2010/11/07 23:50

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