森崎書店の日々
本棚には、いろんな本があってもいい
『ご当地映画』がはやりです。
最近の『ご当地映画』は舞台となる地域の自治体が、全面的に協力もしくは企画段階からの関与しているのが特徴です。自治体側は地域の知名度・イメージアップ、観光客誘致などの思惑が、製作側はロケにおいて便宜・協力を得られることがメリットとなるのでしょう。
先ごろ公開された『桜田門外ノ変』は水戸市の政財界のバックアップで東映が製作したビックプロジェクトでしたが、本作はずっとずっと小さな映画です。
舞台は東京都千代田区神保町。ちっちゃなエリアになぜかたくさんの書店がひしめき合っている本の街。そんな小さな街の小さな古本屋。傷ついた主人公のそこでの日々を、ゆっくりやさしく描いているのが本作です。
「失恋して立ち直る」 ただそれだけの映画なのですが、それを飽きることなく二時間楽しませてくれるのは、神保町とそこに生きる本屋さんたちの暮らしをちりばめた脚本の巧みさと、主演の二人の魅力によるものでしょう。
何かが起こりそうで何も起こらない映画ですが、無償の愛を注いでくれる親戚のありがたさ、閉じた本をまた開いて読み始めるように人生はどこからでも再開可能なこと、そして原始的なメディアでありながら時を超えて生き続けていく『本』の魔力。いろいろな良いものが、この映画の中には含まれています。
子どものころは本屋さんになりたかったなぁ。
そんなことを思いだしたひとときでした。
#261
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