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2010/03/07

ハート・ロッカー

Hl 好みなんじゃないですか…

『爆弾処理班の姿をリアルに描く』
そんなこの映画から伝わるもの。それはなぜか緊張感やスリル、命がけの行動をともにする仲間との友情などではなかった。

戦争とはいえ、銃口を向けるべき敵は目の前にはいない。来る日も来る日も、自分だけの命を危険にさらしながら、爆弾を解体する。毎日毎日。緊張と解放。緊張と解放。やがて緊張も解放も感じなくなる。うんざりする。どうでもよくなる。やめたいけどやめられない。死ぬのは怖いけど、別に死んだっていい。

だからこの映画を見ていると、だんだんどうでもよくなってくる。主人公が助かっても死んでもどうでもよくなってくる。スリルも緊張も感じない。繰り返しの毎日にうんざりしてくる。早く見終わって家に帰りたくなる。

そういう意味では、主人公とのシンクロ率、感情移入度は高いともいえる映画だ。主人公の摩耗した感覚が、閉塞感とうんざり感が観客に伝播してくる。そう、そんな感覚こそが、21世紀の戦場の、いや21世紀の世界そのものを象徴する感覚なのかも知れない。でもそれが、戦争アクションとしても人間ドラマとしても、映画としての楽しさにつながってこないのも確かだ。

そしてそんな、映画として出来が悪いわけではないのに、何ともいえないエンターテインメント性の低さ…

獲っちゃうのかも、しれませんねぇ。えてして、こういうタイプが。

#245

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[ハート・ロッカー] ブログ村キーワード 記事投稿日時 2010年2月4日21:23 ※上映開始日を投稿日時に設定。上映開始1週間後まで固定。  “本年度アカデミー賞最有力、最多9部門ノミネート!”「ハート・ロッカー」(ブロードメディア・スタジオ)。現代の戦場を駆け回る“爆発物処理班”の姿を、女性監督キャスリン・ビグローが、リアルに描き出しています。  2004年、夏。イラク、バグダッドで爆発物処理の任務に就く“ブラボー中隊”。或る日、市街地で爆弾処理を遂行中に、予期せぬトラ... [続きを読む]

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