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2010/01/30

ラブリーボーン

Lb 死者と生者をわかつもの

楽しかった想い出や、幸せな記憶。
そんなあたたかなぬくもりの中には、二度と戻ることは出来ない。
それは死者も生者も同じこと。
では死者と生者をわかつものは何だろう。
それはどんな悲しみや苦しみが待っているにしても、生者は変化の中に進んでいけるが、死者はどこにも進んでいけないこと。

この映画のスージーの有り様は、『成仏』という概念をもつ日本人にはよく理解できるだろう。しかしその理由、スージーが成仏できない理由は決して『怨み』ではない。スージーにとって『復讐』はなんの意味も持っていない。そのあたりが多くの人々の予想とは違っていることだろう。

だから『犯人捜し』のサスペンスはあるものの、復讐譚としてのカタルシスは観客には与えられない。そのあたりが事前の予想を裏切り、ぴんとこない映画だと評価される可能性も高い。ストーリー自体も、言葉にしたらありきたりで、シンプルで意外性はない。

ではこれは、どんな映画なのだろう。
この映画の音響と映像のレベルは高い。みがきこまれ、とぎすまされている。
そしてそれらを駆使して。成仏できない死者と、進めなくなって『死者』と化した生者のありさま。彼らの苦悩と、そして旅立ちと、別れと。それらを観客に『体感』させるのがこの映画なのではないかな。

エンドタイトルにはブライアン・イーノの名前。
なるほどやっぱり。それでいいんだ。
暗闇で、やさしく観客を包み込む、無機的で、あたたかい電子音。パルス。

#243

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