なくもんか
いってらっシャイニング
『少年メリケンサック』もそうだったけれど、宮藤官九郎脚本の映画って、よいところと悪いところがはっきりわかれてしまう気がする。よいところは、部分部分のシーンのセリフ回しを中心とした抜群のおもしろさ。悪いところは、全体の物語としてのまとまりの悪さ、印象の薄さだ。
兄と弟、兄と嫁、弟と相方、兄弟と父、義父と連れ子。本作では様々な人間関係が錯綜し、その各局面での絡みはなかなかに面白い。笑えるし、ホロッとするシーンもある。しかし結果として物語としての軸がわかりにくくなり、個別の面白さが全体の面白さにつながっていない。しかし、部分部分の面白さはかなりのもの。それだけで十分に楽しめる映画になっていると思う。
本作は阿部サダヲの怪演を中心とした映画という印象を受けるけれど、彼自身は自らの演技で映画を引っ張っていくタイプではないのだろう。どちらかというとボケ役で、セリフで物語を進めるよりも、独り言で笑わせる。放っておくと面白いけれど、なかなか話は進まない。そして本作の強力なエンジンとなっているのが竹内結子ではないだろうか。
思えば『チームバチスタの栄光』でもそうだったけれど、彼女はコミカルな演技が得意なのだろう。暴走するサダヲをこづき回しながら、映画にテンポを与えている彼女の貢献はとても大きいと思う。
だから彼女が絡まなかったラストは今ひとつ締まらなかったともいえる。瑛太もサダヲと同じ。自分のセリフでシーンを引っ張っていくタイプではない(たとえば『ディア・ドクター』では鶴瓶という共演者がちゃんと引っ張ってくれていた)。本当は両者が感情をぶつけ合ってもいいシーンなのだけれど、なんとなく不完全燃焼な印象も。ま、熱く語るばかりが映画ではないけれど。最後まで八方美人を貫くのも彼の生き方ということなのでしょう。
まあそんな細かいことよりも、カミソリのようにつっこみまくり、サダヲを罵倒する竹内結子が最高な映画です。
サダヲ・竹内コンビ万歳。
#240
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