ノウイング
これは最後ではない
ニコラス・ケイジは、アカデミー賞を獲っている大物俳優である。大作にもたくさん出演している。なのになぜか「似合わない」役が多いのはどうしてなのだろう。『ナショナル・トレジャー』の世界を股にかける冒険家も、『ゴーストライダー』の地獄から甦ったヒーローも、『バンコック・デンジャラス』の成功率99%の凄腕暗殺者も。どれもあんまり似合わない。
男なら、それは格好いいヒーローを演じたいでしょう。それはもう、仕方ないことです。でも、人によって似合う似合わないがあるのが現実。そして彼の場合、本作のような『弱い男』が抜群に似合うのです。
生きる目的を見失って酒に逃げてしまう男。こんな役柄に彼はほんとうにぴったり。ぐいぐい観客を引きつけます。本作を観ると、ほんとにニコラス・ケイジっていい俳優だな、としみじみ思ってしまいます(ヒーロー映画が良くないわけじゃないんですよ、似合わないだけで…)。
まぁ『弱い男専門俳優』というわけにもいきませんし、似合わないニコラスのヒーロー映画も最近なぜか楽しみになりつつあるので、これからもいろいろな映画に出演して楽しませてほしいです。
さて映画の方ですが、インターネットでの評判などを見ると、どうも『どんでん返し映画』『とんでもオチ映画』に分類される方が多いようで、ちょっと意外な印象を受けます。
この映画はSFとしてみれば、ありふれた話ではあっても決して予想外でも突飛でもなかったと思うのです。学校のシーンで語られる『人の存在は偶然か必然か』というところを物語のテーマとして、最後のシーンで人類と『超越者』の関係を暗示し、『人の存在は、何らかの意思による必然である』ゆえに『人の人生も意味のある必然である』という主張をしている。科学と神と哲学が題材となっているような、そんな昔のSFそのものの展開だと思うのです。
でも、無理はないのかも知れません。今はもうSF映画ってほとんどありませんものね。あったとしてもそれはほとんどが『スター・ウォーズ』の流れをくむスペース・オペラであって、本作のような昔ながらのSF、それこそ『2001年宇宙の旅』の子孫のようなSFとはちょっと違います。いま『SF』といってこういう映画を思い浮かべる人は、とても少ないのかもしれません。
もうすぐ『SF』は、きっと死語になってしまいますね。
#231
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- マグニフィセント・セブン(2017.02.18)
- ザ・コンサルタント(2017.01.28)
- 本能寺ホテル(2017.01.23)
- アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2017.01.09)
- Year 2016(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント