サマーウォーズ
どうしてウチの男たちはバカばっかり…
世界中から一瞬でアクセスできる、アバターとアイコンで機能的に無駄なく構成された空間。
新幹線とバスを乗り継いで、さらに山道を歩いて、やたら大きな門と鎧兜と大広間。長野の山奥の無駄に広い旧家のお屋敷。
そんな全く正反対だけれど、背中合わせに存在している二つの世界。
どんなに便利でどんなに早くて、たとえそこだけであらゆることができても、あっちは決してこっちにはなれない。
どんなに不便で無駄が多くてまどろっこしくても、こっちこそが本物で、決してあっちには負けない。
庭に咲く朝顔や蚊帳の中のお布団。たくさんのイカのお刺身や山盛りの漬け物。酔っぱらったおじさんのいつもの長話。縁側での花札。そしてみんなで食べるごはん。
そういったものこそが本質であり、人の世界を創っている。
二つの世界を対比させて描く本作が伝えるメッセージは、とても強く、揺るぎない。
おばあちゃんは伝えてくれる。
黒電話と手書きの住所録だって、あっちに負けないネットワークになること。
ちゃんと食べてみんなが一緒にいれば、大抵のことは乗り越えられること。
どれほどテクノロジーが発達したとしても、人にとって最も強力な武器は、いつもこっち側にある。
どんなにあっちが素晴らしく見えたとしても、実際に素晴らしいものを提供したとしても。
こっちが『主』であっちが『従』。
これは絶対に覆らない。
これは、とてもとても、大切なこと。
決して見失ってはいけないこと。
それをこの映画は、よくできた物語の中で、しっかり伝えてくれる。
#233
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