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2009/08/30

20世紀少年-最終章-ぼくらの旗

203Who done it

『犯人捜し』の物語はたくさんある。それらでは犯人の正体が明らかになることが物語の大きな転機となるのが一般的である。たとえば殺人事件をあつかった物語であるならば、犯人が解明されることで「犯人の逮捕による連続殺人の阻止」という大きな目的が果たされることになる。『犯人捜し』と物語の『目的』は、通常密接に関連しているのだ。

『20世紀少年』の主人公たちの目的は「世界を守ること」だ。そして物語が進むにつれて、『犯人捜し』と『目的』がどんどん遊離してしまったのが、『20世紀少年』の抱える大きな欠陥だった。『犯人捜し』のみがいたずらに強調され、本来は物語の主題でないはずのものが、あたかも物語の主題であるかのように、読者の目の前に居座り続けてしまった。

結局『ともだち』の正体が明らかになる前に世界は救われ、物語は完結してしまう。そして最後の最後、最終ページまで、まるで意地であるかのように引き延ばされ、明かされた『ともだち』の正体。しかしその正体は物語に何も寄与しない。狂ってしまったバランスは、最後まで回復することはなかった。

映画版『20世紀少年』は丁寧な脚本と編集で、原作の魅力を最大限に引き出してきた。そして完結編となる本作で、映画版は壊れたまま息絶えた原作を、見事に蘇生させている。もちろん構成要素は、99%まで映画もコミックも同じだ。しかし要素の取捨選択、省略と強調、配列の変更で、物語の印象は大きく変わる。

そして付け加えられた1%。

子どもの頃の自分にやらせるだけではなく、ちゃんと『今の』自分が謝ること。
これは原作にはなかったケンジの『けじめ』。
そしてずっと『20世紀少年』の底流となっていた音楽を、その源を自然に分かち合う二人。
これは原作にはなかった『ともだち』の魂の『救済』。

長い物語の中で、長い時間つき合ってきたキャラクターたち。物語の最後で、そんなキャラクターたちをやさしく包んで、慈しんだ映画版。原作者以上に原作を愛した映画版制作者は、原作以上の『20世紀少年』を創り上げた。

#234

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