クライマーズ・ハイ
チェック、チェック、ダブルチェック
航空機事故の悲劇を描くようでもあり、身を粉にして取材する記者の努力を描くようでもあり、事件を商売のネタにする報道のあり方を問うようでもあり。最初に予告編を見たとき、どうにも楽しみどころの伝わってこない、ピンとこない作品との印象を受けた。
しかし実際に見てみると、本作はさっきのどれでもなかった。はっきりいってしまえば、本作における日航機事故など単なる物語の背景にすぎない。他より1分でも1秒でも早く記事にすることだけを考えて生きている記者達の、狂騒的なヴァイタリティといびつな自我と、強烈なプライドと愚かなメンツと。そんな一般人の感覚とはかけ離れた『記者』という人種の有様を、ゴリゴリとぶつかりあうパーソナリティを、アクの強い俳優達の力を借りて強烈に描いているのが本作だ。
「マスコミとは」などという価値観や倫理観や、そんなうっとうしいものは本作にはない。ただひたすら彼らの生き方に圧倒される。きっとそれが本作の正しい楽しみ方。「絶対こんんな生き方はできない」と思ながらも、心のどこかがこの映画に惹かれる。
それはきっと彼らが見せる『ハイ』な姿が、すごく『ピュア』だからなのかもしれない。
#220
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