エミリー・ローズ
午前3時
悪魔が活動する時間だ
悪魔祓いの映画といえば、当然のことながら「エクソシスト」である。その「エクソシスト」と、重厚な法廷ドラマ。関連のない両者を絶妙に組み合わせたのが、実話を題材とした本作である。
「エクソシスト」のころ「オカルト」と呼ばれていたジャンルは、やがて「スプラッタ」にとってかわられ、今は単に「ホラー」と呼ばれている。殺人鬼も恐怖も、その実体に疑いはない。そこに「ある」ことに疑いはない。でも「神秘」はどうだろう。それは信じるか信じないか。どこにでもありそうで、どこにもない。
法廷という、人の英知と正義と公正さと、人の最も明るく正しい面を象徴する存在。その法廷に、壮絶な悪魔祓いが持ち込まれる。「エクソシスト」顔負けの悪魔祓いシーンも怖いが、法廷で、どんなにどんなに人が踏み込んでいっても、底の見えてこない「神秘」も怖い。どんなに真摯に向き合っても、正体は見えない。でもいつの間にか、むこうから忍び寄ってくる。
そしてそんな「神秘」に対して法廷が出した答え。力で押さえつけようとするのではなく、目を背けるのでもなく。それがあくまでも「やさしさ」、翻弄されながら生きる人への「思いやり」であったこと。
信じる信じないではなく、信じる生き方を否定しないこと。
それもまた、英知なのだ。
#208
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