7つの贈り物
7には7で
一見不思議に見えるものも、隠された意図が明らかになれば、それは必然となる。この手の映画の面白さは、いかに上手に意図を不思議で隠していけるか、そしていかに鮮やかに意図を明らかにできるかにかかってくる。この作品はまったく予想できないような結末ではないけれども、とても整理された展開とほどよい伏線の張り具合で、最後までなかなか楽しめる映画となっている。さすがは今最も「稼げるスター」の主演作である。しかしその割に感動も、どんでん返しの爽快感も味わえないのも事実。それはなぜだろう。
主人公の行動は誰が見ても常軌を逸している。それは彼の隠された意図が明らかになっても変わらない。彼は完全に潰れてしまっている。自らの罪の意識に耐えかねて、完全に妄執に囚われてしまっている。もちろん人間は弱いもの。その有様を隠さず描くことも大切だろう。そしてそれがどんなものであれ、自己犠牲は確かに感動を呼ぶものではあるだろう。
しかしどうだろう。弱い人間が逃避の果てに、自己満足な贖罪を果たすさまを、同じように弱く、同じように逃げてしまいがちなわたしたちに、あえて見せる意義はなんだろう。そんなわたしたちだからこそ、たとえ無駄でも、たとえ見苦しくても、逃げずにあがき続ける姿を見る必要があるのではないだろうか。
確率がたったの3%しかなくても、お互いに支え合って、その確率にすがりながら1日づつ進んでいくこともできたのではないか。彼のやり方では7つしか救えないけれど、彼が世界に働きかけていくことで、7が14、21になる「可能性」だってあるのではないか。
7と7で帳尻を合わせるのは、単なる物語の技法にすぎない。技法を凝らすことにかまけて、肝心のものを見せることができなかったこの映画に、感動がないのは仕方がないことかもしれない。
#204
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