マンマ・ミーア!
ピアース・ブロスナン様
ラジー賞最悪助演男優賞 受賞おめでとうございます
今日本では「肉食女子」なる言葉があるけれど、さすがに肉を主食とする国は違う。「肉食熟年女子」。いや、もはや「恐竜」だ。ギリシャの島を舞台にして、3頭の恐竜が男たちをむさぼり食う。これは「ジュラシック・パーク」の新作なのかも知れない。
「娘の結婚式と、母の元恋人3人からの父親探し」。そういうストーリーであれば、母親が主役の一角を占めるのは当然だが、式に招かれた母の旧友2人は一体…。「一夜限りの再結成」から、パックリと地獄の釜がふたを開ける。
本来は主役のはずなのに、すっかり影が薄くなってしまった娘も気の毒だが、本作で一番涙を誘うのは父親候補3人衆である。元恋人からの招待状をもらって、意気揚々と島に乗り込んでくるまではよかったものの、自分たちがゲストなのではなく、自分たちがゲストに振る舞われるのである。まさにギリシャ版「注文の多い料理店」である。
人生の半分を過ぎると、男は下り坂になるけれど女性はそうではないことがよくわかる。ヨットの上で、昔は暴れん坊だった男たち3人が歌う唯一の歌が、ノスタルジックに「あの頃」を振り返るものであることが象徴的。女性は今でも「Gimme! Gimme! Gimme!」ですから、まったくかないません。
ブロスナンは音痴ではないけれど歌は平板。でも最悪というほどではないだろう。というよりも、これはどんな男が演じても最悪なのだ。男の情けなさだらしなさみっともなさ。逆にいえばそれをストレートに表現できたブロスナンは実は好演だったのかもしれない。「ボンドといえば胸毛」ということなのか、クライマックスでのゆるんだ胸毛姿のさらしっぷりも、まさに涙、また涙である。
なにはともあれ、一夜の宴には屠られる羊たちが必要だ。『どんなことがあっても笑っていよう』、この映画のサイトにはこう書いてある。ほんとに笑いながら、頭からバリバリ食べてます。
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