チェンジリング
やっと、見つけたわ
一見「感動の物語」的な宣伝なのだけれど、本作はかなりのサスペンス映画である。タイプ的には全然違うけれど、物語としては「フォーガットン」や「フライトプラン」と同様の「認識の食い違い」を主軸にしたものである。
でも謎の正体だけで引っ張る映画ではない。謎の正体は早々に明かされるが、明かされてからも怖い。実話だというところがなおさら怖い。80年近く前の時代の話ではあるけれど、「昔はひどかった」で済ませられない怖さがある。自分たちはちゃんと前に進んでいるのか、今の権威や権力にちゃんと中身がともなっているのか。ちょっと心配になってしまう。
そんな優れたサスペンス映画である本作だけれども、途中で物語の雰囲気がどんどん変わっていくのがおもしろい。サスペンスから法廷ドラマへ。そして最後の探求へ。ドラマの区切りがつくたびに、すこしづつ違ったタイプに変貌していく。かなり長い映画なのだけれども、淡々と描きながらも無駄なくテンポの良い演出と相まって、あきることなく最後まで一気に楽しめる。
最後の探求のパートは、一見蛇足のような印象を受ける。終盤続いていく割には、明確な結末が用意されているわけではない。法廷ドラマ部分で盛り上がって終わってしまって良かったような気もする。では、この部分で描かれたものは何だろう。映画の最後でクリスティンが得た希望。1%の希望と100%の絶望。法廷ドラマで終わっていたら、単なる「権力批判」ドラマという印象で終わっていたかもしれない。その最後にポンと投げ出されたもの。そう本作は、あくまでも一個人の魂の行く末についての物語なのだ。
結局、人にとっての『救済』とはいったい何だろう。
#202
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