デス・レース
誰もが知っているけれど
誰もちゃんと見たことがない
12チャンネル午後2時の帝王「デス・レース2000年」
堂々リメーク
どうしても見たくない監督というのがいる。ローランド・エメリッヒが横綱だとすれば、さしずめポール・W・S・アンダーソンは大関といったところ。映像は立派、かっこいい。でも怖くない、ハラハラしない、なんにも伝わらない。それが自分にとっての彼の評価だ。
「ニューヨーク1997」の世界で「マッド・マックス2」、これは観てみたい。B級オールスター戦みたいだ。でも困ったことにアンダーソン。こういうのが一番困る。しかたがないので、がまんして観に行くことにした。ところが意外と、意表をついて、悪くない。というより楽しかった。
なぜだろうか、と考えてみる。
たぶんアンダーソン監督は、変に真面目で、気が小さなヤツなのではないだろうか。世界観の確立した素材、たとえば「バイオ・ハザード」や「エイリアン」を与えられると、再現すること、そして再現を期待する周りの期待を裏切らないことに精一杯になってしまうのだろう。その結果出来上がるのは、再現しただけのもの。見た目はそっくりだけど、ただ見た目だけのものになってしまう。
しかし本作は「デス・レース2000年」である。シルヴェスター・スタローンがマシンガン・ジョーであることで有名だけれども、はっきり言ってちゃんと見たことのある人なんてそうそういない。そんな作品のリメイクだからだれも期待しないし、再現なんて意味がない。それがよかったのかな。
バカバカしくて、けれん味たっぷりで、アクションは派手で。レースとしてみると全然おもしろくないのだけれど、その派手さでしっかりごまかしている映画。その割には、終盤にはちゃっかり男の友情まで描いており、なんだかいい感じで終わっているのが心憎い。主演のジェイソン・ステイサムは「ちょっと楽しいB級アクション」専門俳優になりかかっている気もするけれど、そんなこと気にしないでこの路線でがんばってほしい。
マンガというより、ゲーム的。
鋼鉄とオイルと血でできた「マリオ・カート」。
それが「デス・レース」。
#197
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コメント
はいはい、オリジナルもきっちり観ております(TV版ですけど)。
オリジナルも好きなのですが、リメイク版としてもよかったと思います。その理由は記事に書かれているとおりなのかもしれません。(^^;
このオリジナル作品をきちんと観ている人は少ないでしょうねぇ。
あのマンホールを押してアイテムが使えるようになるのは確かにマリオカートですね。(^^)
トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。
投稿: 白くじら | 2010/01/03 17:48
こどものころからよく新聞のテレビ欄で観てるんですよ。何十回も。
でも一回も観ていないんですよねぇ。
やっぱり平日の午後2時からだったせいでしょうか。
当時はビデオって普及してませんでしたから。
投稿: starless | 2010/01/03 20:30