20世紀少年
27歳は、遠い未来だった
急速に進歩する科学と成長する経済。開発による環境破壊と冷戦下の核の恐怖。そんな光と闇の間に育った20世紀少年にとって、21世紀はとても遠かった。
科学の発達による、とてつもなく高度な技術に支えられた未来社会。今いる20世紀から飛躍的に進化した文字通りの「新世紀」。そしてそんな光り輝く21世紀は、実はやってこないはずの時代だった。公害や疫病、核戦争や地震や噴火。宇宙人の襲来まで。時代の不安は多くの人類滅亡のイメージを生み出していたからだ。
そう、20世紀少年は「予言」の中で生きていたのだ。2000年12月ではなくて、1999年7月。そこで世界は終わるはずだった。20世紀少年は誰でも考えたことがある。自分の人生が何歳で終わるのかを。未来社会は決してやってこないのだと。20世紀少年は、すでに自分の人生の「先を」見てしまっていたのだ。
しかし21世紀はやってきた。単なる20世紀最後の日の翌日として。そこは未来社会でもなんでもなく、ただの延長だった。やってくるはずのないものが、やってくるはずの形ではなく、やってきてしまった。だから20世紀少年は戸惑っていて中途半端で、宙ぶらりんなんだ。そんなことを想定していなかったから。大人になるなんて思っていなかったから。
そしてこの映画は、そんな20世紀少年が、「先」を見て今まで「流して」きてしまった20世紀少年が、生涯で初めて踏ん張る映画だ。そんな20世紀少年による、20世紀少年のための映画が、60億円もかけて制作されるなんて、素晴らしい。
あなたが20世紀少年なら、きっとなにか感じるはず。
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