« ノーカントリー | トップページ | Sweet Rain 死神の精度 »

2008/04/06

バンテージ・ポイント

Bp23分×6

たとえば、大統領の暗殺をテーマとしたサスペンス映画のクライマックス。報道するマスコミ。群衆の中の一般市民。紛れ込むスパイ。警護するシークレット・サービス。狙われる大統領。そしてもちろん犯人であるテロリスト。クライマックスシーンはこれらの人々の視点を交互に「ザッピング」しながら描かれていくのが通例である。

しかし本作は違う。クライマックスの23分間。6つの視点。これらをザッピングすることなく、ひとつずつ。つまり映画のラスト23分間を6回繰り返して見ることになるのが本作の最もユニークなところだ。

そしてその順序は、事件に遠いところから順番に。最後は犯人の視点、これが「解決編」になっている。しかし犯人にも見えていないものがある。事件に最も近い者に見えないものが、事件に最も遠いものに見えていたりする。伏線から結末へ、結末から伏線へ。中途半端なそれぞれの視点が、最後に一点に収束するあたりはなかなか見事な構成だ。ちょっと「クラッシュ」を思わせるといったらほめすぎだろうか。

印象に残るキャラクターは、なんといってもシークレット・サービスのバーンズだ。不器用で口べただけれど、絶対諦めない。昔懐かしい、この手の映画の定番キャラクター。とにかく走って走って、ひたすら追いかける。車ごと潰されたのに、フロントガラスをぶち破って這い出てくるところなど、拍手喝采もの。

短い劇中時間の繰り返しを飽きさせないように。銃撃・爆破・襲撃・カーチェイスまで、ぎっしり詰め込まれたアクションシーンもサービス度高し。煮え切らないサスペンスを見たばかりだったので、とても満足できる一本だった。

#182

|

« ノーカントリー | トップページ | Sweet Rain 死神の精度 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: バンテージ・ポイント:

» バンテージ・ポイント 観てきました [よしなしごと]
 今回は、バンテージ・ポイントを観てきました。  最近、映画観てもブログを書く時間が・・・。この作品も観てからブログにするまで1週間もかかってしまった。。。 [続きを読む]

受信: 2008/04/14 00:03

» 【劇場映画】 バンテージ・ポイント [ナマケモノの穴]
≪ストーリー≫ スペイン・サマランカでの演説中にアシュトン米大統領が何者かに狙撃され、さらに演壇が爆破されるテロが起こった。シークレットサービスのバーンズはTV中継車に乗り込み、撮影された映像をチェック。そこに怪しい何かを見つけた。同時刻、サマランカ市警のエンリケは事件の容疑者として拘束されそうになり、サマランカ市街へと逃亡を謀る。アメリカ人旅行者のハワードは、ビデオカメラを片手にそんなエンリケを追いかけ…。(goo映画より) 終映になる前に見に行きたかった映画、やっと行けました。 8つの... [続きを読む]

受信: 2008/04/19 06:23

» バンテージ・ポイント 2008-10 [観たよ〜ん〜]
「バンテージ・ポイント」を観てきました〜♪ スペインのサラマンカ広場、国際テロの撲滅のための会議に参加したアメリカ大統領アシュトン(ウィリアム・ハート)は、テイラー(マシュー・フォックス)、トーマス・バーンズ(デニス・クエイド)を中心とするSPに守られ演題に向かう。大統領が演題にたった瞬間、広場に銃声が響き渡る・・・ 人気Blogランキング      ↑ 押せば、目撃者が現れるかも!? Blog人気ランキングに参加してます。 ご訪問の際は、是非ポチっとワンクリックお願いし... [続きを読む]

受信: 2008/04/23 23:25

» 「バンテージ・ポイント」 見晴らしのいい場所 [はらやんの映画徒然草]
「バンテージ・ポイント」とは「見晴らしのいい場所」という意味らしいです。 転じて [続きを読む]

受信: 2008/04/27 19:30

« ノーカントリー | トップページ | Sweet Rain 死神の精度 »