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2008/03/09

魔法にかけられて

En 近いけれど、とても遠い

「ディズニーのお姫様って、かわいいよね」
「でも、あんな人実際にいたら気持ち悪いかもよ」

そんなお姫様が本当にやって来たら、やっぱり気持ち悪かった。浮世離れしたおとぎ話の主人公が、現実世界に持ち込む違和感を笑いのネタにする。それが本作の基本設定である。

お姫様が一声かけると、森の小動物達が笑顔で集う。それを現代のニューヨークでやるとどうなるのか。そのありさまはシュールというかグロテスク。その手が弱い人は要注意だ。完全な善意がいかに笑えるものか。前半の面白さは、本作のアイディアが優れていることを証明している。

しかしなぜか笑えるだけの映画では終わらない。後半に向けて本作の流れは微妙に変化を見せる。「おとぎ話」と「現代」、「夢」と「現実」。最初はあつれきを生み、反発しあう両者。しかし両者は、やがて惹かれあう。「夢」は「現実」のなかに、自分の抑圧されていた何かを見る。「現実」は「夢」のなかに、自分の諦めてしまっていた何かをみる。

本来交差することのない両者の間に作用する引力。その行方を見守るのは、スリリングで切ない。そしてそれはまた、プリンセスの成長物語でもある。無邪気で無力で当然のように庇護を求めていた彼女が、ついには自ら剣を手に取り邪悪に挑む。成長により彼女が得たもの、失ったもの。それは誰もが得て、そして失ってきたもの。

もし自分がこの映画の監督だったら、どんな組み合わせで映画を終えただろうか。交わってはいけないもの同士の甘い出会いと、ほろ苦く切ない別れ。やはり元の組み合わせを選びたい。

でも苦くなくて甘いまま、そんな終わりの映画があってもいいのかな。なんていっても「ディズニー」なんだから。

#180

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アニメと実写の融合、ディズニー自身のセルフパロディもかわいらしくて面白いファンタジックなコメディ、『魔法にかけられて』。やっと観ました~。 魔法の王国アンダレーシアで暮らすジゼルは、王子エドワードと運命的に出会い結婚をすることに。この結婚によって、王位を揺る... [続きを読む]

受信: 2008/03/23 14:19

» 魔法にかけられて(2007) [萌映画]
なんか思ったよりオトナに評判がよいようなので見てみたディズニーのセルフ・パロディー映画「魔法にかけられて」。まあ、「シュレック」よりは好きかな。見ている間は楽しかったけど…。 天然すぎるジゼル(エイミー・アダムス)、まあ、子供にはああいう人のがとっつきやすいのかもしれない。あっというまに彼女になついてしまうモーガン( レイチェル・カヴィ)。 一方、娘に夢なんか見ていないで地にしっかり足をつけて生きて欲しいと願うロバート(パトリック・デンプシー)には、ジゼルの天然さ加減が何かの間違いとしか思えない。... [続きを読む]

受信: 2008/04/21 10:14

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