LIMIT OF LOVE 海猿
興行収入70億円の大ヒット作
話は「ポセイドン・アドベンチャー」。日本であれが撮れるのかとも思ったけれど、意外と悪くない。変な前置きもなくおもむろに災害が発生し、パニック描写も無駄なくそこそこスリルもある。ヘリや巡視船もたくさん出てきて迫力あるし、CGなどは結構よいとさえ思えてしまう。
しかしだ。悪くないのは「パニック映画」部分。ピアノとストリングスの荘厳な音楽が聞こえてきたら要注意。登場人物たちが熱く語り出す「人間ドラマ」部分に入ると、とたんに映画のテンポが落ちてノリが悪くなる。それが交互に繰り返されるわけだから、非常にぎくしゃくとしたテンポの映画となってしまい、まるで乗り物酔いのように気分がわるくなる。
とくに加藤あい扮する環菜の登場シーンが圧巻だ。テンポうんぬん以前に、なんと映画が止まるのである。思わずDVDプレイヤーがフリーズしていないか確認したくなるほどだ。忙しそうな対策本部の皆さんや現場の隊員たち。命がけの遭難者。爆発炎上中のフェリーまで。全ての人・物が動きを止めて、彼女の感情の吐露が終わるのをひたすらに待つのである。
「パニック映画」に「人間ドラマ」があってもいい。というよりあった方がより面白くなる。しかしそれは「パニック映画」のなかに「人間ドラマ」が描かれている場合であって、本作のように別々のものをつぎはぎすればいいというものではない。これではひとつの映画として成立していない。
この映画を創った人たち。出来上がったこれを観て何も思わないのなら、映画を創る前にもっと映画を観た方がいいよ。
#175
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