アメリカン・ギャングスター
2大スター激突
ともにオスカー受賞歴のあるふたりのスター俳優がギャング映画で敵味方に、というなんとなく70年代の王道ハリウッド映画風のたたずまいが面白い本作。舞台も60年後期~70年代のニューヨークで、BGMもいかにもそれ風といったところも70年代っぽさをかもしだす。
大いに期待して観に行った本作なのだけれども、見終わってみるとなんとなく物足りない。ワシントン、クロウの共演シーンが少ないのは仕方ないにしても、どことなく盛り上がりに欠ける印象。たしかにアクションもある。スリリングな駆け引きや裏切りもある。男たちの自分勝手な生き方の裏で泣く家族たちの物語もある。でもなにか淡泊で物足りない。
これは多分、実話をベースとしていることが関係しているのだろう。実話はフィクションほどドラマティックであることは少ない。そして本作は30年程度前の話であるから、関係者の多くは存命だろうし(事実、リッチーもフランクも映画制作に協力したらしい)、事実に反するような派手な脚色もやりにくい。本人の目が光っているならばなおさらだ。
それでも俳優たちの演技は素晴らしい。とくにワシントン。紳士的でありながら一瞬の狂気を感じさせる彼の演技は、ドラマとしての本作を力強く牽引している。個人的には本作の面白さのかなりの部分は、彼の演技に負っていると感じた。
本作の物語が「三すくみ」の形をなしていることを考えると、悪徳警官役にもう一人、強力で個性的なスターがいたら、また違ったものになっていたかも知れない。
それでも、160分近い上映時間の長さを感じさせない映画だったことは間違いない。
#172
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