007/ワールド・イズ・ノット・イナフ
シリーズ第19作 1999年
【007】ピアース・ブロスナン
【 敵 】エレクトラ(石油王の娘)、レナード(テロリスト)
【主な舞台】ウズベキスタン~カザフスタン~イスタンブール
本作の目玉は、まちがいなくボンドガールに起用されたソフィー・マルソーだろう。そして有名俳優・女優をキャスティングした場合に起こりがちなのが「それなりの役を用意する」ということ。「映画に花を添える的な役柄では失礼だろう」と思ったか思わなかったか、今回ソフィーに用意されたのがボス級の悪役。それも不幸な過去や父親との確執をバックグラウンドとした、陰影のある人物として設定されている。
結果として、これは完全に裏目に出たと思う。もちろん007に人間ドラマがあってもいいとは思うが、少なくとも敵陣営にそんなドラマは必要ない。基本的に人間ドラマ的背景を持たないボンドと戦う相手が、思いっきり人間ドラマを背負っていてはボンドの存在が浮いてしまう。誘拐事件により人生をねじ曲げられたエレクトラや、エレクトラを利用しながらも心を奪われ利用されてしまうレナード。こんな人たちを殺しても、なんのカタルシスもありません。
ブロフェルドに不幸な生い立ちがあったり病気の家族がいたりしても、映画の盛り上がりには何の役にも立たないわけですよ。そう考えると、有名俳優なのに単なる誇大妄想狂を演じたクリストファー・ウォーケンは偉かったな、と思ったりも。
今回は珍しく中央アジアが舞台となっていますが、もともとあのあたりには何もないので、それほど異国情緒は味わえません。それよりも、MI6本部の目の前で行われるテムズ川でのチェイスシーンの方が印象的でしょうか。
ボンド映画なのに、何となくボンドが居心地が悪そう。シリーズ末期を感じさせる一本です。
#167
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- マグニフィセント・セブン(2017.02.18)
- ザ・コンサルタント(2017.01.28)
- 本能寺ホテル(2017.01.23)
- アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2017.01.09)
- Year 2016(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント