007/ダイ・アナザー・デイ
シリーズ第20作 2002年
【007】ピアース・ブロスナン
【 敵 】グスタフ・グレーヴス(ダイヤモンド業者)
【主な舞台】北朝鮮~キューバ~アイスランド~北朝鮮
20作目、シリーズ40周年記念作品である本作は、お馴染みの冒頭ミッションの失敗~捕虜~拷問というとんでもない展開で幕を開ける。その後捕虜交換で帰還するも、Mにまで「いっそ帰ってこない方が」といわれる始末。典型的なスパイの末路である。
ここまでのブロスナン・シリーズは、世界だけがボンドを置き去りにして変転してしまったことを常に感じさせてきた。そして21世紀となった本作の世界には、もはやいままでのジェームズ・ボンドにとって、完全に居場所が無くなってしまったことを感じさせる。
その「ずれて」しまったボンドの活躍は、CGを駆使したど派手なものであるのが本作の特徴。派手すぎてボンドが浮いてしまっているのが哀しい。
久しぶりに帰ってきた「英国産」ボンドカーも、ステルス仕様というとんでもないもの。ボンドのアストン・マーチンとザオのジャガー。2台のブリティッシュ・スポーツカーが繰り広げるカー・チェイスは、派手で大味でカーチェイスというよりも空中戦のよう。いくら撃たれてもぶつけても、キズひとつつくことなく元気に走り続ける2台がひたすら印象に残る。英国車の現実離れしたタフさに比べて、田んぼに突き刺さるイタリアン・スポーツカーの情けなさ。英国魂は死なず、といったところか。
「消されたライセンス」で英国映画としての命を終えた007シリーズ。スタッフを一新し、現代のハリウッドムービーとして蘇ったブロスナン・シリーズは、従来のボンドにはもはや世界のどこにも居場所がないことを一貫して描いた。
そして007シリーズは、本作をもって二度死んだのだ。
#169
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