スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
「夢」は「悪夢」しか見たことがないの
復讐を誓った男は、怒りと焦燥感から、やがて自らを見失い悪魔に成り果てた。
女は男を、悪魔を、ずっとずっと愛し、ずっとずっと支えた。
たとえ夢が悪夢になってしまっても、女にとってそれは夢だった。悪夢であることがわかっていても、夢を見ずにはいられなかった。
たとえ自らの嘘が男を悪魔に変える一因となっていたとしても、嘘をつかずにはいられなかった。それが一縷の望みを繋ぐなら。たとえ男が悪魔となってしまっても、その思いを遂げられるなら。
愛する人といっしょにいたい。
そんなささやかな想い、そんなありふれた願いを持ってしまったがために。女は悪に染まり、悪夢にはまりこんだ。
誰もが持っている、愛や夢や希望や。そしてそれらのために、美しいはずのそれらのために、女は醜い闇に堕ちた。もう何も見ることができず、女を愛していた少年の救いの手さえ、もはや眼には入らない。悪魔を産みだし、自らも悪と化し、周りに災いをもたらし、愛した悪魔の手で地獄の炎で焼かれる。
わかっていたのに。
それでも想いにこだわり、何かを求め、そして大切なものを失ってしまう愚かさが。そんな弱さが。とても愛おしくて、悲しい。
海辺は。
とても遠かった。
#170
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