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2007/10/08

パーフェクト・ストレンジャー

Ps 終了7分11秒前、読者への挑戦状

サスペンス映画的に売り出されてはいますが、本作はいわゆる「犯人捜し」を目的とした推理ドラマであるといえます。冒頭で殺人事件が起こり、強い動機を持った容疑者が浮かび上がる。その容疑者が犯人でないことは明らかであり(それはコピーに「真犯人」という表現があることからも読み取れます)、観客は周囲の関係者の中から「真犯人」を探し出さなければならないのです。

本作のストーリーが弱いところは、実質的に事件といえるのは冒頭の殺人のみで、そのあと事件が「動かない」ことにあるのでしょう。たしかに登場人物がそれほど多くないため、第二第三の事件を起こしてしまうと「真犯人候補」が減ってしまうのは理解できます。しかし観客の中の「真犯人候補」が殺され、推理のリセットを迫られるような展開を楽しめなかったのは事実でしょう。

また本作の「スリル」が、ロウィーナが派遣社員としてハリソンの会社に乗り込むという、あまり緊張感のない「潜入調査」に依存していたところも、盛り上がりに欠ける一因だったでしょう。どう見てもあの「潜入」で命を落とすような危機に見舞われるようには思えませんでしたから。そもそもストーリーの作りからいえば、「容疑者」ハドソンが「真犯人」であることはあり得ないわけですからなおさらです。

では本作の「真犯人」は「読者への挑戦」が行われている「ラスト7分11秒前」の時点で推理可能だったのでしょうか。

劇中のセリフや描写のなかの伏線から推理をおこなうだけのヒントが含まれていたかといえば、とりあえずはフェアといっていい程度のものは与えられていたようです。推理小説のような正統な推理により「真犯人」にたどり着くことは、なんとか可能だったのではないでしょうか。

正統な小説的推理では「真犯人」にたどり着けなかった私ですが、実はもう一つの、邪道な映画的推理においてなんとか「真犯人」たどり着いていました。それは実に映画的な手法である「フラッシュバック」の意味を読み取るという方法です。

「フラッシュバック」が暗示する幼少期の虐待によるトラウマ。そのトラウマの持ち主はやがて「支配的な男性」を憎むようになるはずです。そして本作の「容疑者」はまさにこのタイプ、つまりトラウマの持ち主には、「ハドソンを『容疑者』として罠にはめたい動機」があったということになるのです。つまり捜査の攪乱とあわせて一石二鳥を狙ったわけですね。

そしてなにより映画的推理においては、「ある登場人物の持つトラウマが映画的に隠蔽されているときには、かなりの確立でその登場人物が犯人である」という法則があるのです。

なんとも邪道な推理ですね…

#157

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 この映画は、仕事帰りなど頭が疲れている時は避けた方が良いかな、体調が万全な時ではないと・・・。と思っていたらこんなに遅くなってしまいました。問いわけで今回はパーフェクトストレンジャーです。  今回はいつも映画館ではなくユナイテッドシネマ豊洲のレイトショーで観たのですが、いつも育英が感よりも料金が高くてびっくり。レイトショーって映画館によって値段違うのね。... [続きを読む]

受信: 2007/10/25 02:58

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