ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
エヴァ初号機、リフトオフ
かって大ブームを巻き起こした「エヴァンゲリオン」を一度も見たことがなかった。「どうしてあんなに人気があるのか一度見てみたい」と思ってはいたものの、さすがに全26話は敷居が高い。
そして本作の公開が話題になったとき調べてみると、なんと1話から24話までがひとつになった「DEATH(TRUE)2」なる便利なDVDがあることに気がつき、これを見てみた。24話分をまとめるという企画に無理があったのか、製作側にまとめようとする気がなかったのか。意味不明とは言わないが、物語を楽しむことはほぼ不可能。時系列さえも入り乱れ、まさに一見さんおことわり映画であった。でもファンの人があれを見て楽しめるのかどうかも疑問なところ。いったい誰が見ることを想定してつくられた映画だったのだろう。
そして本作。今回は「序」ということで6話くらいまでの映画化のようで、詰め込み具合も前ほどではない。「エヴァンゲリオン」を初めて見る人にも十分楽しめる内容になっていたと思う。特筆すべきはやはり絵のきれいさだろうか。アニメの映画化というと、テレビ版から流用され大きなサイズに引き延ばされたザラザラの絵が思い浮かぶが、本作は本当にきれい。特に偏執的に描き込まれたメカ周りなどは素晴らしかった。
「エヴァンゲリオン」というと「内向的な少年が戦いを通して成長する物語」というイメージがあったが、実際見てみるとその印象は大きく異なった。どう見ても嫌がる少年の方に分がある。あれじゃ乗るのイヤでしょう、普通。「突然不条理な状況に叩き込まれた少年の苦悩の物語」 それが私の印象。「saw」や「CUBE」のようなソリッド・シチュエーション系の映画だと感じた。
そもそも少年を取り巻く世界に現実感がない。使徒は世界を滅ぼしに来ているようには見えないし、ネルフは世界を守るために戦っているようには見えない。随所にほのめかされているように、周囲の大人から少年に呈示された世界はまやかしなのだろう。少年は人類のために戦っているのではなく、何らかの「私戦」もしくは「実験」に駆り出されているかのようだ。
答えの出されていない数々の謎。その謎そのものを積み重ねていくと、おぼろげに見えてくる構図。
早く続きが見たいなぁ。
というより、気合いを入れて全26話にチャレンジしようか。
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