ベクシル 2077 日本鎖国
日本、ハイテク鎖国
SFの面白さのひとつに世界設定の面白さがある。本作の設定も非常に魅力的である。しかし映画は設定資料集ではない。ドラマが弱ければ「SF映画」としていいものは出来上がらない。
サイバーウイルスに侵され、機械化されていく人類。本作の一番の問題は、この「人間性の喪失」による哀しみが観客に伝えられなかったことだろう。もちろん説明は十分になされている。ナレーション、回想・解説シーン、登場人物のセリフ。誰が悪い人で誰がいい人なのか。どんなにこの人たちはかわいそうなのか。設定は十分に伝わる。
しかし「理解」はできても「感じる」ところまではいかない。彼らがなぜ戦うかは理解できても、彼らの怒りは感じられない。「こういう状況で彼らは戦っております。ではご覧ください」では目で見える見かけの魅力以上のものを伝えるのは困難だろう。
それでもアクションシーンの充実度はなかなかのもの。冒頭の強化型ロボコップ対スター・ウォーズのバトルドロイドもどきの戦闘シーンなどはスピード感もありなかなかの迫力。ブースターで自在に飛び回る警察官もマイノリティ・リポートのようで楽しい。
それにしても、捕らえられたベクシルたちが手かせで鎖に繋がれて敵ボスの前に引き出されたり、敵がスキンヘッドで黒い背広といういかにもヤクザ風だったりという、古色蒼然たる描写は情けない限り。
もちろん世界公開を前提に「日本の悪役と言えば海外ではヤクザだろう」という狙った演出である可能性も否定できない。それならば手下たちも忍者や柔道家、相撲取りにすればもっとよかったのになぁ。
#149
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