オーシャンズ13
こんどは仕返しだ
「この映画に出演を決めたのは脚本が素晴らしかったからだ」(アル・パチーノ)
「またまた心にも無いこといっちゃって」と思いながら、特に期待せずに観に行ったシリーズ3作目。結論からいうとアル・パチーノのいうことは本当だった。
ここでいう「素晴らしい脚本」とはひねりが効いた凝った脚本と言うことではない。映画の雰囲気にあったシンプルな脚本ということだ。ただでさえ登場人物が多く散漫になりがちな本シリーズだが、今回は「仕返し」という実に単純な動機で全員が動いている。そのため映画に一本筋が通ってとても判りやすいのだ。
そしてシンプルな骨格に肉付けされるのが、本シリーズの持ち味である「ウイット」や「ゴージャスさ」。脚本とシリーズの魅力が上手くかみ合い、ここまでの3作で最もよい出来といえるのではないだろうか。
本作の目玉ゲストであるアル・パチーノ。もう67歳ですか。往年の切れ味はないけれど、まだまだ元気そう。出番は多かったものの、冷酷な敏腕ホテル王がオーシャンズたちに苦もなくひねられてしまったのはちょっと物足りなかったかな。それと比べるとアンディ・ガルシアはおいしい役どころだった。一瞬だけれどもアル・パチーノとの超久しぶりの共演シーンも楽しめる。
相変わらず「スターが出ている」ことが一番の存在意義になってしまっている映画だけれども、本作を見ると「それもありかな」と思えてくる。昔の超大作を超大作ならしめていたのは、製作費でも技術でもなくスターたちだった。みんなスターを見に劇場に行き、さまざまなスターの共演を楽しんだ。客を呼べる俳優・女優がたくさんいた。
それを思うと、本作のスタンスも映画のあり方のひとつなのかな。そしてスターたちを楽しむのに邪魔にならない本作のシンプルな脚本は、やはり正解だったのかもしれない。
#147
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- マグニフィセント・セブン(2017.02.18)
- ザ・コンサルタント(2017.01.28)
- 本能寺ホテル(2017.01.23)
- アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2017.01.09)
- Year 2016(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント