007/オクトパシー
シリーズ第13作 1983年
【007】ロジャー・ムーア
【 敵 】オルロフ将軍(ソビエト連邦) カマル・カーン(宝石商)
【主な舞台】インド~ベルリン
前作に引き続いて本作でも、シリーズは硬派なスパイ路線を取ります。NATOの弱体化を図るため米軍基地の破壊を計るソビエトのタカ派将軍の暴走、というまさにスパイスリラーといった物語ですが、なぜか前作とは異なりあまり硬派な印象は受けません。それは全編に漂うコミカルな演出によるものでしょうか。
ボンド初上陸となるインドでの冒険は、マーケットでの逃走劇やジャングルでさまざまな動物に襲われるところなど、同時代に大ヒットとなっていた「レイダース」の影響が強く出たと思われる内容です。そしてアクションシーンに織り込まれる「笑い」の分量も、「レイダース」なみにかなり増量されていたような気がします。またタイトルにもなっている「オクトパシー軍団」も、シリアスさとはかけ離れたかなり漫画的な存在であり、本作のトーンに大きな影響を与えています。
前作ではボンドの敵に回っていたゴゴール将軍が、本作では「敵の敵は味方」とばかりに活躍するなど、本来はシリアスなスパイ物語であるにもかかわらず、全体のトーンが物語とはちぐはぐだったのが個人的にはちょっと残念でした。
またアクション俳優としてのロジャー・ムーアの「寿命」がそろそろ感じられるのも、なんとなくさみしさを感じさせます。
本作でのロジャーは55歳くらい。ショーン・コネリーは最終作「ダイヤモンドは永遠に」で40歳くらいですから、かなり年齢の開きがあります。そもそもロジャーの007デビューは40代半ばですから、30歳くらいに007デビューしたショーンと比較するとかなり遅咲きのスターだったわけです(だいたいショーンよりロジャーのほうが年上ですし)。
本作では列車や飛行機などでのハードなアクションが続きますが、かなり厳しいものがあります。サーカスの衣装やピエロ姿なども年齢を考えるとつらいものがありました。
とはいえ無難にまとまっているのも確か。MやQの現場での活動が見られるのも本作ならではです。
#121
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