« 007/私を愛したスパイ | トップページ | 007/ムーンレイカー »

2006/12/16

エラゴン 遺志を継ぐ者

Eragon 死ぬときはともに死ぬ、ドラゴンに選ばれし伝説の存在。その名は「ドラゴンライダー」。

原作は最近流行の「児童文学ファンタジー」です。それにしても「児童文学ファンタジー」はどうしてあんなに本が高いのだろう。「児童文学だから字を大きくしてページを水増ししよう」なのか「ハリー・ポッターがあの値段で売れたんだからウチも高くても行けるだろう」なのか知りませんが、ソニーマガジンの原作もかなりのお値段。読んでから観に行こうと思っていたのですが、結局読まずに観に行くことになりました。

悪しき支配者が君臨する世界。圧政に苦しむ人々の中で、平凡なひとりの少年が己に秘められていた力に目覚める。そして彼は数々の苦難を乗り越えながら「選ばれし者」として成長していく。

あまたのファンタジー映画や数々のロールプレイングゲームでおなじみの、実に「ありきたり」なストーリーであります。そして映画化された本作の特徴は「短い」こと。最近の原作ありファンタジーは2時間を大きくこえる長時間作品が多いのですが、本作は100分程度しかありません。ですからストーリー展開はとても早いのです。

ソニーマガジンのサイトであらすじなどを見ると、どうやら映画では語りたりていない部分もたくさんあるようなのですが、そんなことはお構いなしです。とにかく物語は先へ先へと進んでいきます。しかし観客が置き去りにされることはありません。なにしろ「ありきたり」な話なのですから、観客は容易に脳内補完が可能なのです。「ありきたり」なストーリー展開を最大限に生かし、語りを最小限に抑えて見せ場を短時間に詰め込んだのが本作なのです。

どんなに工夫したって「語り」にかけては映画は小説にはかないません。中途半端に語るくらいなら、「ありきたり」さを最大限に利用してスピーディーにまとめるというのも、ひとつの方法かもしれません。映像表現はなかなかのレベル。お約束の雄大な景色なども堪能できます。特に真新しいものを望まなければ、十分に楽しめる映画になっていたと思います。大人から子供までが楽しめる「お正月映画」らしい作品でした。

そんな「ありきたり」な本作の中で、唯一の特色といえる要素がドラゴンとドラゴンライダーの絆です。なにぶん時間がないものですから十分な描写ができたとはいえないかも知れませんが、それでもこれらの要素は私には魅力的なものに映りました。多くの人にそう感じさせることができたとするならば、本作の映画化は成功したといえるのかもしれませんね。

エラゴン 遺志を継ぐ者@映画生活

#118

|

« 007/私を愛したスパイ | トップページ | 007/ムーンレイカー »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

ありきたり、そうですね。いわれてみれば。
途中からRPGやってるような感覚になりました。
原作を読んでからもう一度見るとおもしろいかも、と思っているところです。

投稿: rukkia | 2006/12/22 23:26

原作を読むとドラゴンとの交流がもう少しきめ細やかに描かれているんでしょうね、きっと。でも2000円も出す気にはちょっとなれない原作です。

投稿: starless | 2006/12/23 10:41

こんばんは。

おお、この時期の記事だとは、劇場に観に行かれていましたか。
こういう世界の広いファンダーや、ドラゴンが闊歩したり飛翔する作品は、やっぱり大画面がいいですねぇ。

確かにライダーの設定以外は、ありきたりと言われても仕方がなかったかも知れませんが、それだけに序盤から中盤にかけてのドラゴンとの交流はもっと時間をかけてじっくりと描いて欲しかったです。
どうも、てってってーと走り抜けていったような感じでした。
ちょっと残念な作品でした、次回に期待です。(^^;

トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていたたきました。

投稿: 白くじら | 2007/06/13 00:13

こんばんは。

そうなんです、映画館に行ったのです。
本当は小説を先に読みたかったのですが、映画を見たら何となく読む気が無くなってしまいました。

>次回に期待です。(^^;

あれば観に行くつもりはありますが、ありますかねぇ。
こういうの結構お金かかりますし、かけないとショボくなりますし。

投稿: starless | 2007/06/15 21:05

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: エラゴン 遺志を継ぐ者:

» 『エラゴン 遺志を継ぐ者』 [ラムの大通り]
(原題:Eragon) ----この作品、今週から公開だよね。 「うん。日劇1がメイン・シアターだから、 本来ならば、今年のお正月映画の目玉のはず。 でも、ぎりぎりまで姿を現さなかったね」 ----確か、原作は大ベストセラーになったんだよね? とても若い人だと聞いてるけど……。 「クリストファー・パオリーニね。 執筆を開始したのは、なんと15歳なんだって」 ----ふうん。その若さで人の心を掴めるんだから やはり天才という... [続きを読む]

受信: 2006/12/17 00:52

» エラゴン 遺志を継ぐ者 [コミックとゲームの感想]
映画 エラゴン 遺志を継ぐ者 の感想 原作の日本語版が発売されたとき、すぐ買って読み、その面白さにはまっていたので、映画版もとても楽しみにしていました。 映画版の出来は・・・・ 確かに映像は迫力あります... [続きを読む]

受信: 2006/12/17 19:05

» 映画「エラゴン 遺志を継ぐ者」 [しょうちゃんの映画ブログ]
2006年71本目の劇場鑑賞です。公開当日レイトショーで観ました。シュテフェン・ファンマイアー監督デビュー作品。クリストファー・パオリーニの世界的ベストセラーを空前のスケールで映画化したファンタジー・アドベンチャー超大作。邪悪な力に支配された世界を舞台に、世...... [続きを読む]

受信: 2006/12/17 23:30

» 「エラゴン 遺志を継ぐ者」序章ですからね〜注・ドラゴンクエストとちゃうよ。 [bobbys☆hiro☆goo☆シネプラザ]
全世界待望!同時公開の 「エラゴン 遺志をを継ぐ者」 関西一番目の試写で見てきました。 ワールドプレミアから一日後 ジャパンプレミア前 でも公開4日前と 同時公開の為、 「ダビンチ・コード」と同じで あわただしい公開になりそうですが・・・ 今の時代、VFXが発達しすぎて 安心して見れるのはいいのですが 目新しさに欠けるのが難点。 全世界40カ国で ベストセラーになった ファンタジー・ノベルの映画化です。... [続きを読む]

受信: 2006/12/19 14:25

» 「エラゴン 遺志を継ぐ者」観ました。 [Cinema Chips ブログ版]
この物語は冒険ファンタジー小説”ドラゴンライダー3部作”の第一部「エラゴン 遺志を継ぐ者」の映画化です。 小説の第一部は2003年に出版され300万部以上を売り上げ、第二部「エルデスト 宿命の赤き翼」もすでに05年11月に発売されています。 最終章の第三部は現在執筆中との事です。早くも3部作のすべてをシリーズ化して映画化する事が決まっているそうです。原作者はクリストファー・パオリーニ。 ... [続きを読む]

受信: 2006/12/20 15:08

» ★「エラゴン 遺志を継ぐ者」 [ひらりん的映画ブログ]
劇場公開初日(206.12.16)のナイトショウ(0:00〜)で観てきました。 予告編でも何度も見てるし・・・ 最近CMもバンバン流してるので、 お客の入りは夜中にしてはまあまあかなっ。 [続きを読む]

受信: 2006/12/22 03:28

» エラゴン 遺志を継ぐもの(2006) [萌映画]
出演者を見たときに盛り上がり、予告編見たときに盛り下がり、と、期待の浮沈が激しかった映画「エラゴン」を見てきた。 おもしろくもあるし、物足りなくもある、って感じかな。 どうしてもドラゴンに違和感があったのだ。 人間的すぎる表情が…。うーん、架空の動物だから別に動物的である必要はないとは思うのだが、でもやっぱり。 あ、これ、擬人化されすぎた動物アニメのあれだ。 ディズニーの「ダイナソー」に感じ... [続きを読む]

受信: 2006/12/22 23:19

» 「エラゴン 意志を継ぐ者」見てきました [よしなしごと]
 お正月映画大本命のファンタジー映画エラゴン 意志を継ぐ者見てきました。 [続きを読む]

受信: 2006/12/30 00:17

» エラゴン 遺志を継ぐ者 [古谷千秋の食い倒れ日記]
毎月1日は映画1,000円というのは元日でも変わらない。 [続きを読む]

受信: 2007/01/02 01:26

» エラゴン 意思を継ぐ者−(映画:2007年2本目)− [デコ親父はいつも減量中]
監督:シュテフェン・ファンマイアー 出演:エド・スペリーアス、レイチェル・ワイズ、ジェレミー・アイアンズ、シエンナ・ギロリー、ギャレット・ヘドランド、ジャイモン・フンスー、ジョン・マルコヴィッチ、ロバート・カーライル 評価:68点 公式....... [続きを読む]

受信: 2007/01/07 20:42

» エラゴン 遺志を継ぐ者 [MOVIE-DIC]
ドラゴンライダーの時代がまたおとずれる! 2006年(ERAGON) 製作国:アメリカ 監督:シュテフェン・ファンマイヤー 製作:ジョン・A、ジョン・デイヴィス、ウィック・ゴッドフレイ 脚本:ピーター・バックマン、マーク・ローゼンタール、ローレンス・コナー 撮影:ヒュー・ジョ..... [続きを読む]

受信: 2007/06/18 12:52

« 007/私を愛したスパイ | トップページ | 007/ムーンレイカー »