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2006/12/29

007/ユア・アイズ・オンリー

Bd12 シリーズ第12作 1981年

【007】ロジャー・ムーア
【 敵 】ゴゴール将軍(KGB) クリスタトス(海運業者)
【主な舞台】スペイン~北イタリア~ギリシャ

シリーズの中での本作の位置づけは、前作「ムーンレイカー」で行き着くところまで行ってしまった荒唐無稽路線から原点回帰した作品とされています。ここでいう「原点回帰」は、秘密兵器に頼らない「生身のアクション」として捉えられることが多いのですが、もう一つ忘れてならないのはストーリー面での原点回帰です。

ボンドはイギリスのスパイですが、その物語の多くは世界征服をたくらむ誇大妄想の持ち主たちとの戦いであり、いわゆるスパイ活動が描かれたものは多くありません。本作の物語は国家機密を巡るイギリスとソビエトの戦いであり、ボンドと直接対決するクリスタトスもソビエトの協力者ではあっても、いわゆる悪者ではありません。善悪という観点からではない、利害が対立する者同士の大人の戦いが本作では描かれているのです。

「私を愛したスパイ」ではボンドと共闘したKGBのゴゴール将軍が、本作では一転してボンドの命を取りに来ますし、序盤は誰が協力者であり誰が敵なのかも定かではないままストーリーが進みます。ラストのKGB対ボンドのシーンは決着がつかない中途半端なもののようですが、相手を殺すことが目的ではない本作の任務においては妥当な決着でしょう。自分が機密を手にできないならば、相手にも渡さないことが最善策となるのですから。ボンドが機械を壊した時点で双方任務終了なのです。私欲で戦っているのではないスパイならではの決着です。

「ロシアより愛をこめて」以来の本格的なイギリスとソビエトの戦い(あのときはスペクターも含めた三つどもえでしたが)が描かれた本作は、今までのシリーズには珍しいクールなスパイ戦が十分に楽しめる作品だったと思います。

そのクールな物語とキャロル・ブーケの冷たい美貌、舞台となった地中海の青が相まって、映画全体に独特のトーンが生じている本作は、文字通りシリーズの「異色作」かもしれません。

#120

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コメント

なぜかこの作品、印象が薄いのです…。
まっとうなだけに地味だったのでしょうか。
正月休みに見直してみることにします。

投稿: rukkia | 2006/12/29 16:41

まぁ地味ですね、やっぱり。
アルティメット効果で快調にシリーズを見ています。

投稿: starless | 2006/12/29 20:18

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007本シリーズ12作目、ロジャー5作目。コミック色の強い前作とはうってかわって、まじめな作りになっている。でもそこは007、いままでの作品へのオマージュ(?)と思えるプロットがたくさんある。特に冒頭の墓参りシーンやスキーアクションなど「女王陛下の007」からのものが散見される。 ハンサムで強くて冷たい東のスパイなんか「ロシアより愛を込めて」のあいつ、ワイディングロードをパワー不足の車で�... [続きを読む]

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