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2006/10/01

CUBE ZERO

Zero CUBEからは、誰も出られない。

第1作「CUBE」、第2作「CUBE2」に続くシリーズ第3作である本作は、その名の通り第1作の前日譚となるストーリーである。いよいよ誰もが見たかったCUBEの「外」が描かれることになる。

そんな「外」は映画の冒頭であっけなく描かれる。そしてCUBEの目的までもがなんなく明かされてしまう。しかし謎はそれでは終わらない。監視者の周辺にも多くの謎が存在するのだ。そんな謎めいた世界の中を手探りで進んでいく。本作は実にSFっぽい映画であるといえるだろう。

思えば本作の結末は第1作において呈示されていた。第1作に登場したCUBE外壁の設計者はなぜCUBEの外に出ることを拒んだのか。それはCUBEからは誰も出られないことを知っていたからなのだ。

被験者を監視する監視者。監視者を監視するジャックス。ジャックスを監視する「幹部」たち。

自分たちが管理する対象へ力を行使することでの優越感を感じる一方で、自分たちもまた管理され、やがて自分たちの管理対象のように切り捨てられるのではないかという恐れを拭いきれない。外側にいるつもりがいつの間にか内側にいる。絶対的な「立ち位置」を得られない不安感。自分の記憶や感覚までもが信じられなくなり、確かなものと思っていた世界が崩壊していく。

人間の存在の不安定さ、信じる世界の不確かさ、社会システムに組み込まれる閉塞感。本作は人間が心の奥底でひっそりと感じている恐怖感をやんわりと意識させる。

そう、「幹部」になったとしても安心はできないのだ。「幹部」の外側には「国家」が、「国家」の外側には「神」が。そして「神」の外側には・・・

#107

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。

2ですっかり評判を下げてしまった(と思われる)CUBEでしたが、今回のZEROは新たに監視していた側の方にスポットを当てていたのでまた割りと新鮮な気持ちで観ることができました。
にしても私は1でわずかながらでも外に希望を抱いていたのですが、そういうものは木っ端微塵に砕かれてしまったところが辛かったところ。
ホント…最初に書かれてとおり「誰も出られない」。

確かに幹部は幹部で…。

ラストで1に続くようなシーンになるのは演出的にもよかったと思います。
名前が違ったような気がしますが、これでうまく纏め上げられました。2はなくてもいいけど。(^^;

トラックバックありがとうございました。

投稿: 白くじら | 2006/10/01 09:24

コメントありがとうございます。

監督が変わっているにもかかわらず、実にCUBEらしい映画だったと思います。

>これでうまく纏め上げられました

ほんと、期待以上というか期待はしていなかったのですが、これ以上は無いくらい見事に完結させてくれましたよね。

「4」作らなければいいのですが・・・

投稿: starless | 2006/10/01 20:12

コメントいただき、遊びに来ました。
そういう見方もできるんですね。外にまた同じような監視構造がある「外」があって、その外にまたという具合に。
完結しているようにも見えますが、その「外が…」というのを考えると、誰かが「4」を作るのではないかという気がしてくるような…。

投稿: ちんとん@ホームビデオシアター | 2006/10/11 06:55

コメントありがとうございます。
おじゃましたときは、なぜかTBできなかったもので、コメントだけで失礼しました。

>外

いったいどんな「国家」になっているのか興味はありますが、たぶん映画にするのは難しそうです。

投稿: starless | 2006/10/11 20:22

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