007/黄金銃を持つ男
シリーズ第9作 1974年
【007】ロジャー・ムーア
【 敵 】スカラマンガ(著名な殺し屋)
【主な舞台】ベイルート~マカオ~香港~バンコク
007シリーズは、メインタイトル前のオープニングエピソードがいつも大きな見所となります。しかし本作のオープニングは、スカラマンガが自宅の怪しげな部屋で刺客を倒すという、なんとも情けないエピソードで始まります。遊園地のビックリハウスか、はたまたトリックアートの館か。あんなもので観客がスリルを味わうと想定した製作者の気が知れません。
前作「死ぬのは奴らだ」同様に、本作も弛緩したムードが漂います。敵方のスカラマンガ陣営に魅力が無いのもいただけません。なにしろスカラマンガと小人の二人しかいません。「黄金銃を持つ男」ことスカラマンガのキャラクターも今ひとつ。「丸腰ですよ」とか言いながら陰でかちゃかちゃと黄金銃を組み立てている姿はあまり格好のいいものではありません。
前作のオカルトムード導入のように、本作では当時のブルースリー台頭の影響を受けてか、香港映画・カンフー映画風味が取り入れられています。でもこのようなお遊びも、お遊び以外の部分が今ひとつのこの映画ではマイナスにしかなりません。
数少ない見せ場の一つであろう車の回転台ジャンプ。メイキングなどを観るとかなり命がけの撮影だったようですが、完成版では「ぴゅーっ」となんともマヌケな効果音を当てられてしまいます。スタントマンが浮かばれません。
そしてラストのボンドとスカラマンガの一騎打ち。舞台は再びビックリハウス。しつこい。よっぽど気に入ったんですね、あのアイデア。
コミカルな要素もボンド映画の魅力ではあるけれど、キャラクターの魅力や緊張感が全然無いのはいかがなものでしょう。ロジャー・ムーアが降板しなかったということは、当時の受けは悪くなかったんですかねぇ。
「ダイヤモンドは永遠に」以降の長期凋落。なんともシリーズの行く末を不安にさせる一本であります。
#103
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コメント
やっぱりあのビックリハウスはいただけませんよねー。
この作品ではそれまでゴージャスな敵のアジトなんかデザインしていた人が参加してないようなんですよ。
投稿: rukkia | 2006/08/27 22:06
あれは「デザイン」能力以前の問題ですよ。
家にあんなものがある時点で、スカラマンガは悪役失格ですな。
投稿: starless | 2006/08/27 22:37