スーパーマン リターンズ
19年ぶりに現れたアメコミの王様、新シリーズ開幕。
まず目を奪われるのは、圧倒的なビジュアルの美しさだろう。オープニングの宇宙。ケント家の農園。ニューヨークの街並みと上空からの夜景。北極の「孤独の砦」。どれもが旧作のイメージを引き継ぎながらも、凄まじいグレードアップを果たしている。
本作はリメイクではなく続編とされているが、その内容は1作目と類似している点が多い。敵も同じくレックス・ルーサー。クリプトナイトによりピンチに陥るが、敵方の女性の裏切りもありなんとか窮地を脱する。多いというよりも、ロイスとの関係が変化していることを除けば、瓜二つといえるかもしれない。
旧作は、同時代の特撮映画と比較すると、その映像的な出来映えはかなり劣る。クリストファー・リーヴによるスーパーマン像こそ完成されていたものの、映画としてのスーパーマンは完成とはほど遠いものだった。そして本作では、映像の美しさやスーパーマンのスピード感、アクションシーンの重量感など、まさにスーパーマンにふさわしい状態に仕上げられている。20年近い歳月による技術革新と、本作にかけられた労力と資金力がそれを可能としたのだ。
そう。本作は「RETURNS(帰還)」ではなく「REBIRTH(復活)」なのだ。
ケント農場への宇宙からの帰還シーン。旧作同様に育ての母の前に飛来したスーパーマン。旧作とまったく同じように描かれたあのシーンこそ、21世紀におけるスーパーマンの復活を象徴したシーンだといえるだろう。
本作の監督ブライアン・シンガーは、「X-メン」の最終作の監督を辞退して本作の監督となったという。1作目、2作目と自らが監督し、人気シリーズとなった「X-メン」の完結編。監督をやりたくなかったわけがない。しかし彼は本作を取った。彼の「スーパーマン復活」にかけるその意気込みが、本作をここまで高みに押し上げたのかもしれない。
#102
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コメント
tb&コメどうもでした。
うんうん、正にREBIRTHですね。
旧作へのリスペクトと、新しいテーマ性。
オールドファンも大満足でした。
投稿: ノラネコ | 2006/08/30 23:16
コメントありがとうございました。
>オールドファンも大満足でした。
「定番」の強みですよね。
続編の計画が高い製作費が原因で難航しているようです。まぁストーリー的には新機軸を打ち出しようもないので、技術がそこそこ進化するごとに続編(リメイク)を出していけばと思うのですが。
投稿: starless | 2006/09/01 21:52
こんにちは。
映像に関しては現在の最高水準といえるほどで文句を付けるところがありませんでしたね。ただそれに付随する人間たちの動きがちょっと微妙でしたが。
ストーリー的にはおっしゃるとおり1とよく似ていました。
特にレックス側で同じように不動産で儲けようとしているあたり、笑ってしまいました。あれだけのことをしながら土地を売って稼ごうとは…、でもあんな感じでアメリカ大陸を破壊して隆起した土地って誰の所有になるんでしょうねぇ。何も無いところならともかく、今まであったわけですし。うーん。
話としては1だけでなく2まで観ていないと○○の話とか判らないとは思いますが、今後どうなって行くのか、難航しているとか聞きましたが、リターンズの続編、ぜひ作って欲しいですね。
トラックバックさせていただきました。
投稿: 白くじら | 2006/10/01 15:32
コメントありがとうございます。
確かに不動産屋ですねぇ。
あれだけのことができるのに、何で国家を脅迫したりしないで、ああやって間接的に儲けようとするんでしょうか。
その辺りの小悪党っぽさがみんなに愛される秘密なんでしょうか。
>続編
何でもこの映画2億ドルくらいかかったらしいんですよ、製作費。
CGってお金かかるんですね。
監督はやる気まんまんみたいですから、スタジオがお金出すかどうかですね。
投稿: starless | 2006/10/01 20:23