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2006/04/08

FINAL FANTASY XII

Ff12 FINAL FANTASY シリーズ最新作。

その昔コンピューター・ロールプレイング・ゲーム(RPG)は、戦闘と成長を楽しむものだった。ストーリーは戦闘の背景に過ぎず、いわゆる「イベント」は困難な戦闘を乗り越えた達成感を盛り上げるための「ごほうび」程度のものだった。

やがてコンピューターの進化にともない、高度なCGが家庭用ゲーム機で扱えるようになった。RPGの物語は美麗なCGによるイベントシーンで語られるようになり、メーカーはイベントシーンの美しさ豪華さを競いだした。当然のことながらイベントシーンはどんどん長くなり、イベントシーンとそれにより語られるストーリーがRPGの主要な要素となった。

そんなイベント重視型RPGの最右翼がファイナル・ファンタジー(FF)シリーズだった。スーパーファミコンからプレイステーションにプラットフォームを移したFFは、時代の最先端を行くCGを駆使したイベントシーンを大々的にフューチャーし、絶大な人気を得た。

ストーリーを語ることに比重が置かれた結果、イベントシーンは長くなり、その代償としてかってRPGの根幹であった「戦闘と成長」によるシステムは解体された。かってのRPGを楽しんできた「旧RPGファン」はそんなFFシリーズを「もはやRPGではない」と称したが、旧ファンを圧倒的に上回る数の新ファンの前では、旧ファンの嘆きなどなんの意味も持たなかった。

そんなFFシリーズの最新作が本作である。完全3Dになりアクションゲームのように戦闘中動き回れることや、「ガンビット」システムにより戦闘中のコマンド入力が自動化されたことなど、非常に斬新な作風のようであるが、そんな見た目にごまかされてはいけない。本作は久しぶりに「戦闘と成長」を楽しめるオーソドックスなRPGなのだ。

賛否両論な戦闘システム。見た目はまるでアクションゲームのようであるが、実際はかってのコマンド入力型のターン制戦闘と何も変わらない。結局は敵も味方もそれぞれの行動間隔に従ってターンで動いているだけ。いくら戦闘中動けるとはいっても、それで敵の攻撃がよけられるわけではない。

では従来の戦闘と変わらないなら、なぜこんなシステムが採用されたのか。実はこのシステムは「戦闘の快適さ」向上に大いに役立っているのだ。RPGといえばフィールド移動中に突然画面が変転し戦闘に入り、終了後にはキャラクターの決めポーズとともに獲得経験値とアイテムの一覧が表示される、といったものがお決まり。だが本作をプレイしてみると、画面の変転もなく決めポーズも獲得一覧もなく、全てがシームレスに流れることが実に快適なことに気がつく。

「戦闘の音楽がないのがイヤだ」といった意見が多いようだが、若い世代の間で従来のFFで様式化されていた「サイドビューと戦闘の音楽」に対する愛着が根強いのが意外だ。私にとってはそれよりも、決めポーズや獲得一覧をキャンセルするためにボタンを押し続ける事がなくなったメリットの方が圧倒的に大きく感じた。

「ただ見ているだけで面白くない戦闘。ガンビットなんていらない」といった意見も非常に多いようだ。では以前のFFでは戦闘中何をしていたろうか。ほとんどの場合は「たたかう」コマンドを入力し続けていただけである。以前のFFもボタンを連打しながら「見ているだけ」だったのである。ボタン連打をコンピューターにやってもらえる。ガンビットは素晴らしいシステムではないだろうか。

これらの点を考えると本作は、従来の戦闘中心のRPGを楽しませながらも、戦闘の連続における身体的な負担を軽減させた、いわば「身体に優しいFF」といえるかもしれない。年齢的に体力が厳しくなりつつある旧ファンにとって、ここまで楽にレベル上げが楽しめることは、なんともうれしい限りだろう。

では本作における、ストーリー、イベントムービーはどうだろう。相変わらず大量のCGが使用されているが、以前ほど「ゲームの邪魔をする」といった印象は受けなかった。確かに一回にかなりの長さのムービーが入るのだが、回数自体はそれほど頻繁ではない。「ゲームとムービーの融合」というよりは「ゲームはゲーム、ムービーはムービー」といった感じだろうか。

本作のストーリー、キャラクターについても否定的意見が非常に多いようだ。私的には以前のFFのような、いかにも「悩める若者」といった感じのうじうじしていてどことなくナスシスティックなキャラクターがいなかった点が高ポイント。戦争というどうにもできない大きな流れの中で、自分たちにできることを静かに着実に進めていくキャラクターたちの物語はとても完成度が高かった。一般的な「映画」として通用するレベルにかなり近づいたといえるのではないだろうか。

キャラクター同士のべたべたした恋愛が無かった点も不満が多いようだが、バルフレアとフランの関係、バッシュのアーシェへの想いなど、恋愛もしっかりと描かれていたと思えるのだが、ああいった控えめな表現ではアピール出来ないのかな。特にバルフレアとフランについては、口には出さないながら二人の間の強い絆が感じられて、とても印象的だった。

最近のFFは「映画に負けない」ストーリーが売りだった。今までで一番「映画」に近づいたといえるレベルの本作のストーリーがここまで評判が悪いのを見ると、FFファンの思う「映画」とは、一般の「映画」とは異なったものになってしまったのだなぁ、とつくづく感じてしまう。

主人公の存在が希薄なことも批判の対象になっているようだが、これはどうだろう。私にはバルフレアはそれほど影が薄かったとは思えない。彼も作中で口にしているように、本作の主人公はヴァンではなくバルフレアなのだ。ヴァンの役割は主人公ではなく、ストーリーの傍観者であるプレイヤーの「よりしろ」としてバルフレアについてまわることなのだ。

最近のFFシリーズは、「非RPG」的作風で旧ファンを脇に追いやる代わりに大勢の新ファンを得て成長してきた。しかし本作では従来の戦闘中心RPGを現代的な映像表現とサポートシステムにより蘇らせ、そこにシリーズ最高のストーリーを織り込んだ。レベル上げを中心とした戦闘も大いに楽しめ、ストーリーやムービーも「映画」として楽しめるレベルに近づいた。本作はFFシリーズにおける、現段階での最高傑作といえる素晴らしい仕上がりだ。

そんな本作が新ファンに総スカンをくらってしまったのは、可哀想だがスクウェア・エニクスの「自業自得」といえるだろう。自らが彼らを育ててきたのだから。

しかし本作をプレイした旧ファンは喝采をあげているはず。新ファンほど声は大きくないけれど。

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コメント

ありゃ、もしかしてもう終わってしまったのですか!?
私はまだ倍くらい時間かかりそうです > すでに70時間ちょい
昔のRPGだったすでに2本くらい終わってますね(^^;

で、FF12は世間的には不評なんですか…。あらま。
まあ、世の中、べた恋愛とかお涙頂戴映画ばかりがはやってますからね。
私は、ベタベタ青春ものの8とか10とか、あまりあまり好きではなかったので、このくらいで丁度よいかと。(PS2作品では9が一番好きです)
そして主人公そっちのけで注目はバルフレアとフランです(^^;;;;

投稿: rukkia | 2006/04/10 14:00

終わったとは言っても、モブのS、A、Hはほとんど残ってます。とりあえずエンディング見ただけですね。
モブも後半は出現条件が解りにくいのが多いので、詰まったら攻略サイトのお世話になりながら、イヤになるまで続けようかな。
ちなみに69時間、レベル59位でした。中盤以降、全員に「経験値2倍」つけていたので楽勝でした。

>バルフレアとフラン

ハンソロとチューバッカといいますか、コブラとレディといいますか、なんともいい感じの異人種コンビですね。
終盤は完全に主役となりますよ。おたのしみに。

投稿: starless | 2006/04/10 19:36

クリア早いですねぇ。
私はまだ1/3くらいなのです。しかもモブ退治にやっきになってて、強くて大変です。
まだ40時間くらいなんですけどね(笑)。でも昔はこのくらいでクリアしたものですが。

ガンビット設定は非常によくできていますね。
設定に夢中になっていると時間が…でもときどき「あーなにやってるー」と叫ぶこともしばしば、まだまだだなぁと思ってしまいます。←自分が

私は4からのファンですが、今回も十分楽しめています。
FFは毎回システムが違うのもドラクエと違うところでしょうか。しかも進化しているのが凄いところだと思います。
映像はどんどん長くなっていますが…これはまぁ仕方がないところでしょうか。今回は変に近未来風のシステムがなかったのがよかったです。それに変なキャラも(笑)。なんだかPS版から変なところがちょっとありましから…。
とにもかくにも楽しんでいる私でした。

※でもってお知らせなのですが、突然ですが事情により活動映像の街は終了削除することになりました。
恐れ入りますがリンクの取り外しをお願いいたします。
今までありがとうございました。

投稿: ぽこ | 2006/04/29 18:17

>ぽこさん こんばんは。

クリア、とはいっても、とりあえずエンディング見ただけですね。
モブ狩りは面白いんですが、面倒の割には見返りが少なくて。経験値もないし、アイテムもたいしたこと無いし。

>突然ですが

たしかに突然ですねぇ。
わたしのところも始めてようやく1年ほどになりますが、当初よりお出でいただき、さらにはリンクまで貼っていただいてありがとうございました。

うちは当分今のまま、ちびちびと続いていくと思いますので、たまには見てやってください。

投稿: starless | 2006/04/29 21:29

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