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2006/03/10

リング

ring 鈴木光司の同名ベストセラー小説を映画化。

見た者は7日後に命を落とすという「呪いのビデオ」をめぐる物語。

「Jホラー」というと、いかにもな恐怖映像で脅しにかかってくる印象があるのですが、本作はなかなか「出て」きません。主人公の肩の上あたりに余白が出来る、「でますよ」的カットが多用されている関係で、今にも「出そう」な雰囲気が持続するのですが、結局「出ない」まま静かに映画は進んでいきます。そういう意味では、ホラー映画の観点からいえば、本作は決して怖い映画ではありません。

もともと小説版「リング」は、ビデオによる死が文字通り「感染」するという点において、「怖い」というよりも「いやな感じ」を強く感じさせる作品でした。そのある種バイオホラー的要素を映画版ではばっさりと切り捨てているため、本作は志津子親子をめぐる因縁話、いかにも日本的な怪談話となっているのです。

ただ、ショッキングな映像が少ないからといって、つまらないわけではありません。映画冒頭の少女たちのように、みなさんも怪談話を楽しんだことがあると思います。そう、怪談話は楽しいのです。次の展開が何となくわかっていて、そろそろ怖いことが起こりそうだと読めてしまっても先が気になる。そんな「わくわくする怖さ」が本作にはあると思います。

ただ時間の制約の関係か、志津子親子の苦しみや恨みをしっかりと描けなかったのが残念。因縁が弱いと怪談は盛り上がらないのです。「呪いのビデオ」のざらっとした質感が上出来だっただけに、もうすこし過去パートをがんばって欲しかったです。

最後の「出てくる」シーンは、さんざんもったいつけた後だけに、ちょっと物足りなかったでしょうか。それよりも浅川が父親にビデオを見せに向かうラストシーンの方が、本作にしっくりくる「怖いシーン」だったと思います。主人公を女性に変更した効果が、最も表れていた部分だと思います。

#072

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