« 007は二度死ぬ | トップページ | FINAL FANTASY XII »

2006/03/25

コンスタンティン

cons アメリカン・コミックを原作としたダーク・ファンタジー。主演はマトリックスシリーズで世界的大スターとなったキアヌ・リーヴス。

人間界を間に挟んで対峙する天国界と地獄界。両者のバランスを保つため神も悪魔も人間界には踏み入ることができないため、「ハーフ・ブリード」とよばれる使い魔により双方は小競り合いを続けていた。
そのハーフ・ブリードを見破る能力を持つ男、ジョン・コンスタンティン。彼は「悪魔祓い」として地獄側のハーフ・ブリードを地獄に送り返していた。

まもなく公開されるロシア発のダーク・ファンタジー「ナイト・ウォッチ」。本作と「ナイト・ウォッチ」の設定はとても似ています。どちらも両界からのエージェントが人間界で暗躍するのですが、「ナイト・ウォッチ」がエージェント自身を主人公としているのに対して、本作はコンスタンティンという人間を、いわば狂言回しとして主人公に据えている点が異なっています。

天国と地獄、神と悪魔。通常は天国が「善」であり地獄が「悪」。それは「エクソシスト」「オーメン」など映画の世界でも昔から前提とされている、説明不要のフォーマットです。しかしそのフォーマットに当てはめて見てしまうと、本作の面白さは伝わりにくいかもしれません。

天国と地獄、「聖」と「邪」は必ずしも「善」と「悪」ではない。両者は人間界から生まれた「光」と「闇」であり、常に「裏」と「表」として共存することを運命づけられている。

本作でも天国と地獄の均衡が重視されています。神も悪魔もお互いを討ち滅ぼそうとは思っていないわけです。それはルシファーが息子の勝手を許さなかった事からも明らかです。ただそうはいっても相手に優位に立たれるのも嫌なので、ハーフ・ブリードを使って牽制しあっている。それが「コンスタンティン」の世界なのです。

「光」からの視点のみではなく、「光」と「闇」双方の視点から世界を見ることで、より多くのことが見えてくる。従来の「一元的」な視点ではなく「二元的」な視点によることで、勧善懲悪のシンプルなストーリーの良さを失うかわりに、なにか別のものを私たちに感じさせてくれる。

あの「スター・ウォーズ」でも、ジェダイとシスはフォースの両面であり決して「善」と「悪」ではないのだと感じさせました。世界各地の紛争も、自分の属している勢力からみた「善」が別の勢力から見ても「善」とは限らないことから生まれるわけです。自分が「絶対」だと思うものが「絶対」ではないと知ることも、人間には大切なのかも知れません。

「世の中簡単ではないな」そんな煮詰まってきた21世紀にふさわしい映画だといったら、「コンスタンティン」をほめすぎでしょうね。

でも結局「コンスタンティン」はハリウッドの映画。最後は「神寄り」で映画は終わります。あくまでも「光」と「闇」の狭間で、どちらに軍配を上げることもない「ナイト・ウォッチ」の方が訴えかけてくるものは多いと思います。

あ、でも私「ナイト・ウォッチ」は小説しか読んでいませんので、映画がどうなっているかはわかりません。なんとなく出来の悪そうな雰囲気が漂っていますが・・・

#075

|

« 007は二度死ぬ | トップページ | FINAL FANTASY XII »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

なーるほど、天国と地獄の均衡のために小競り合うハーフブリード…。
どちらか一方が絶対良い、としてないあたり、自分がこの作品を好きだったのはそういうところかもしれません、と思い当たりました。
…TBさせていただいた記事ではミーハーなことしか書いてないですが(^^;

投稿: rukkia | 2006/03/28 21:26

>RUKKIAさん
コメントありがとうございます。
これは「たぶん」ですが、結局はコンスタンティンが何もしなくても人間界が地獄側に乗っ取られたりすることはなかったのだと思います。
神も悪魔もお互いがあっての自分たちだと思っているわけですし、多少自分の側が優勢になるのは結構だけれども、相手側を駆逐してしまおうなどとは思っていないのだと思います。
そういう意味では、コンスタンティンは救世主どころか、とんだ道化だったわけです(神だって彼が地獄を滅ぼすことなど期待していないわけですから)。
ですから、私的にはラストでコンスタンティンにもっと憤ってもらいたかったんですよね。神にも悪魔にも。

投稿: starless | 2006/03/31 20:07

こんばんは。

確かにこの作品の設定としては敵(?)が天国と地獄、強大すぎる敵でした。
その中にあってコンスタンティンが死のうが生きようが、おそらく大勢に影響はなかったでしょうね。(^^;

結構親玉的上級クラスも出てきたりしたので、もう人間は無視して勝手にしてくれーって感じがありましたが、まぁ、それでは話にならないので、知恵で勝つというストーリーになったのでしょうか。
と言っても次回もこんなことになったら見限るかもしれませんが。(- -;

「ナイト・ウォッチ」もこういう悪と善のお話でしたか。今第1部目がレンタル開始されていますね。まだ借りることが出来ませんが、一度は観たい作品です。

トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。(_ _)

投稿: 白くじら | 2006/08/12 21:33

>白くじらさん コメントありがとうございます。

「ナイト・ウォッチ」、小説は面白かったですよ。続編が出版される様子が無いのが気がかりですが。
DVDはうちの「積ん読」ならぬ「積みDVD」の中にあるので、近いうちに観ようと思います。

投稿: starless | 2006/08/13 00:39

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: コンスタンティン:

» コンスタンティン [MOVIE-DIC]
封印は解かれた。バランスは崩れ、この世は終末へと動き出す! 2005年(CONSTANTINE) 製作国:アメリカ 監督:フランシス・ローレンス 製作総指揮:ギルバート・アドラー、マイケル・アグウィラー 製作:ローレン・シュラー・ドナー、ロレンツォ・ディボナヴェンチュラ 原作:ケヴ..... [続きを読む]

受信: 2006/08/12 21:05

« 007は二度死ぬ | トップページ | FINAL FANTASY XII »