サハラ 死の砂漠を脱出せよ
クライブ・カッスラー原作の世界的ベストセラー小説「ダーク・ピット・シリーズ」の映画化。
同シリーズの映画化は「レイズ・ザ・タイタニック」以来、25年ぶりのこと。
あれだけのベストセラーでありながら映画化に縁がなかったのは、カッスラーがなかなか「OK」を出さなかったためと言われています。そのカッスラーが許諾した本作の企画は、それだけ優れた企画だったということでしょうか。
主役のマシュー・マコノヒーは、ポスターで見たときは全然イメージにあわないと思いましたが、劇中で見るとなかなか悪くありません。強いて言えばサンデッカー提督以下主要メンバーがやけに若いのが気になりましたが、長寿シリーズであることを考えると、現在の設定より若返るのはしょうがないことでしょう。ただ、ルディだけはまったくのミスキャストでしょう。
「ダーク・ピット・シリーズ」の魅力は、宝探しにまつわる謎解きと、冒険活劇の2点に集約されると思います。長編小説を映画にまとめるに当たって、本作では謎解きをばっさり切り捨て、冒険活劇に的を絞ったようです。あまりに行き当たりばったりにお宝に行き着いた印象だったのは残念ですが、二兎を追って中途半端になるよりはよかったかもしれません。
しかし原作の再現性はともかく、「ダーク・ピット・シリーズ」のエッセンスは十分に注ぎ込まれていたようです。それは危機に陥ってもあきらめることなく前向きに対処する「ポジティブさ」「不屈さ」であり、つねに女性を思いやる「紳士さ」であり、固い絆で結ばれた「男の友情」であり、古き良き時代を愛する「ロマンティシズム」です。
「ポジティブさ」が前面に出るあまり、ダークたちが危機に陥ってもへらへらしている変な連中に思えたことでしょう。でも「へらず口」を忘れるようではダーク・ピットとは言えません。ダークとアルの掛け合いこそが本シリーズの神髄なのです。
難点を言えば、結局は行き当たりばったりに敵地に乗り込み、なんだか分からないうちに大暴れしてぶっ壊しているだけなのストーリーだったことですが、最近は原作もそうだからしょうがないですね。かなり脳天気さが強調されていましたが「ダーク・ピットらしさ」はしっかりと描かれていたと思います。
でもここだけの話ですが、一番がんばっていたのはペネロペ・クルスだったと感じたのはわたしだけでしょうか?
これだったら、もう一本くらいシリーズを映画化してくれないかな。
#067
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- マグニフィセント・セブン(2017.02.18)
- ザ・コンサルタント(2017.01.28)
- 本能寺ホテル(2017.01.23)
- アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2017.01.09)
- Year 2016(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
世間の評判はあまり芳しくなかったらしいですね。
興業成績がいまいちでDVDの売り上げはそこそこで、でもまだ次作GOには予算が足りない、とか最近マコノヒーがいってたらしいです。
…原作者が怒ったという噂もあるので、権利取得が難しいかもという話も。
私は単純におもしろかったんですがね。(原作は読んでいません)
本作のペネロペ・クルスも好きでした。
続編作って欲しいです。
投稿: rukkia | 2006/02/20 23:20
カッスラーさん、怒るくらいなら許諾しなければ良かったのに。それとも興行成績がいまいちだから怒ってるのかな。
「単純なおもしろさ」を狙った映画だと思うので、あれはあれでよかったとわたしも思います。
投稿: starless | 2006/02/21 20:03
こんばんは。
そうかー、もうDVDになってるんですね。
原作は読んでませんが、なかなか面白かったと思います。
すぐ続編の製作に取り掛かるんだろうと思っていたのに、とんと話を聞きませんねー。
マシュー・マコノヒーって地味なイメージがあったんですが、なかなかにアクション活劇もお似合いでしたし、相棒のアルくん役のスティーヴ・ザーンも良かったです。
次があるなら、どの作品が映画化されるのか楽しみですね。
投稿: つっきー | 2006/02/22 01:55
いらっしゃいませ。
続編ありますかねぇ。
こういう景色のよい外国でロケをして、あまり深刻なテーマもなく、すかっと楽しめるアクション映画好きなんですけどね。
予告編を見ると、「MI3」がそうなりそうな予感があります。騙しあいから壊しあいに移行してそうな雰囲気でした。
いっそのこと続編はカッスラーに監督やらせたらどうでしょう?
投稿: starless | 2006/02/23 20:31