バイオハザード2 アポカリプス
日本のカプコンが製作し、世界中で大ヒットしたTVゲーム「バイオハザード」シリーズの映画化第2弾。
本作の元となったゲーム「バイオハザード」が登場したのは、プレイステーションが登場してまだ間がないころだったと思います。このころからゲームのグラフィックの向上が著しくなり、特にゲームの合間に流される「ムービー」などは「映画顔負け」の美しさを誇るものが登場し始めました。
ゲームの「ムービー」の役割は、ゲームのシナリオを進めたり、ゲームの様々な過程においてプレイヤーが感じる危機感や達成感などの感情を補強したりすることにあります。いわばゲーム本体をサポートする役割なのです。
同じ「ムービー」であっても、それ自体が主役であり、自身で全てを語らなければならない「映画」との決定的な違いがここにあります。
本作は、前作に続いてゲームにかなり忠実な映像作りがされています。ゾンビ犬やネメシス、新キャラクターのジルなど、ゲームそっくりの世界観が描かれています。にもかかわらず、本作から伝わってくるものは驚くほど少ないのです。
都市全域がゾンビ化してしまった恐怖感、アンブレラ社の陰謀により市街から出られなくなってしまった絶望感、核攻撃の開始前に脱出ポイントにたどり着けるかどうかの焦燥感、なにもありません。そこにあるのは、まるでゲームの「ムービー」そのままのスタイリッシュなアクションシーン。
ゲームをクリアすると、ゲームでのムービーシーンを連続して見ることのできる「ムービーシアターモード」が追加されるものがありますが、本作はまさにこれ。ゲームを単に映像化したものであり、「映像」ではあっても「映画」とは呼べるものではありません。
「ゲームの映像化」であるならゲームファンは楽しめるのかというと、さにあらず。ゲームから「ムービー」だけを抜き出しても、ゲームより面白いわけがありません。そこにはゲームの面白さの根幹である「プレイ」がないのですから。
本作と同様の企画に「トゥームレイダー」がありますが、あれは一応「アクション映画」としては楽しめるレベルにあったと思います。本作は「アクション」ではあっても「アクション映画」ではありません。
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コメント
今回はスーパーウーマン的女性を2人することで話題があったようですが、片方は単なる引き立て役になっていて…なんとも残念でした。
確かにあまり悲壮感が感じられない脱出モノで…なんとも珍しかったです。
ゾンビ化の進行も速くって、ゾンビ特有の危機感もイマイチ感じられず、あ、もうゾンビ?って感じで観ていました。
こういう部分はまだ1が面白かったと思います。
ゲームはやっぱり自分が楽しめてナンボでしょうか(笑)。
※トラックバックありがとうございました。こちらからもさせていただきました。
投稿: ぽこ | 2006/02/12 21:03
>ぽこさん
こんばんは
>ゲームはやっぱり自分が楽しめてナンボでしょうか(笑)。
ゲームも「2」で飽きてしまいました(笑)。
恐竜とか鬼武者とか、派生ものも多すぎましたね。
ゲームも映画も引き際が難しいようで。
投稿: starless | 2006/02/13 19:36
これ、結構気に入ったのですが、確かに緊迫感や絶望感はなかったかも。
怖いのダメな私が平気でしたから(^^;
ゲームで知っている人には物足りなかったのでしょうか。
投稿: rukkia | 2006/02/14 21:33
>RUKKIAさん コメントありがとうございます。
なんかこう「イメージ映像」のようにしか見えなかったんですよね。登場人物もみんな記号のようで。
でも、怖いのダメな人がちょっと怖い映画を楽しめる、という意味では意義はあるのですね。
怖いのダメな人でも怖いもの見たさはあるでしょうし。
投稿: starless | 2006/02/14 22:58