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2006/01/16

感染

kansen 毎年、年末年始の夜中にはいろいろな映画をテレビで放送しています。そんななかに、気になってはいたものの見る機会のなかった「Jホラー」が含まれていました。

経営に行き詰まった老朽化した病院。そこに未知のウイルスに感染した救急患者が運び込まれることから、悪夢の一夜が始まる。

医療の仕事は大変な仕事だと思います。長く不規則な勤務時間。患者への対応。そして医療ミス。毎日多大なストレスにさらされていることでしょう。本作はそんな医師や看護師の疲れ切った心の隙間をテーマとしたホラー映画です。

ただホラー映画というよりも幻想映画に近いものがあるため、さまざまな事柄にきっちり説明を求める方には不満も多いでしょう。なにしろ伏線ではなく幻覚なわけですから、説明されずに終わってしまうものもかなりあります。このあたり、早い段階で「幻想映画」だと気がついてしまったほうが、逆に映画は楽しめたかも知れません。

この点については「りんご」のエピソードできっちりヒントは提示されているのです。

でもおおむねテーマは描けていたと思いますし、怖さはイマイチながらも思いのほか楽しめた映画でした(まぁ、ホラーなのに怖くないのはダメなのかもしれませんが)。タイトルとは裏腹にあまりグロいシーンもありませんでした。

しかし、あまり生かされていない登場人物も結構いましたね。お面の子供患者とか縫合君とか、不気味だけどあまり存在する意味はありませんでした。特に縫合君のエピソードは、メインのストーリーと全く絡んでいないことからも、時間を割いていた割には意味のないエピソードだったと思います。

「あまり怖くない」といいながらも、かなりイヤな感じの漂う本作ですが、この「イヤな感じ」の源はたぶん「病院」です。

みなさんは子供の頃、病院が怖くありませんでしたか。薄暗い廊下。何に使うのか分からない道具。注射器やメス。ベッドに横たわる病人。身じろぎせずにじっとしている老人。手術室の赤いランプ。本作に出てくる病院は、そんな子供の頃に感じた「怖い病院」そのものなのです。

このあたりの、日本人に共通した「恐怖の原風景」を使ってくるのが「Jホラー」の特色なのかも知れませんね。

感染@映画生活

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コメント

こんにちは。
>この「イヤな感じ」の源はたぶん「病院」です。

同感です。病院が舞台というだけで
生まれる「怖さ」。
それはよく伝わってきました。
余計なものをくっつけないほうが素直に
怖かったのになー などと思いました。

投稿: くるっぱー | 2006/01/17 12:59

>くるっぱーさん
コメントありがとうございます。
この映画からイヤな感じを一番受けたのは、お医者さんじゃないですかねぇ。
自分の中に感染する「下地」があることが十分わかってるでしょうから。

投稿: starless | 2006/01/17 21:01

えへへー、ご無沙汰でーす。
遊びに来ました♪

私もこの映画をテレビで観ました♪
放送時間とオリジナルの時間を比較し、CMの時間などを考慮すると、最後のエンドクレジットロール以外はカットされていないような気がします。
で、あの”わけのわからなさ”、どうしようって思いましたよ。(笑)

ジャパニーズ・ホラーが最近、もてはやされているようですが、その「質」は低下傾向にあると思います。
お化けの正体がハッキリしないのはいいんです。難解なのも結構。
でも結末がきっちりオチていないのはいかがなものかと思ってしまいますね。

この作品の場合だと、佐藤浩市の生死。
ロッカーからのぞく手は彼のものだと思われますが、生きているのか死んでいるのか、おかしくなっているのか正常なのか、お茶を濁したまま終わっているような気がします。

あと、ご指摘の通り、縫合くんと男の子の患者を生かしきれていないのも残念です。
あ~、もったいない、もったいない。(笑)

投稿: つっきー | 2006/01/21 06:13

>えへへー、ご無沙汰でーす。

早朝から元気がいいですねぇ(笑)。

この映画の「わけのわからなさ」の理由が何となく分かる気がします。

この映画って、洋画で言えばシャラマン監督の映画みたいなジャンルだと思うんですよ。
佐藤浩市は、警察に逮捕されて生きてると思いますし、ロッカーの手は最後の女医さん(?)が感じている幻想だと思うんです。
つまりみんな医療関係者の心の中で起こったことだった(心に作用するウィルスがあったかどうかは不明ですが)、っていう映画だと思うんです。
だからそもそも「ホラー」というより「どんでん返し映画」のはずなのです。
でもこれは「Jホラー」として製作されました。
「どんでん返しもいいけど、もうちょっと最後に怖いの出せないかな」
「この辺はもっとどばっと気持ち悪く行こうよ」
「ブランコがゆれてたら、ちょっと怪談っぽくていいんじゃない」
などと外野の意見を取り入れてるうちに「わけがわからなく」なっちゃったんではないでしょうか。
最後に本当は殺人事件であるとネタばらししたんですから、そのあともう一度「ロッカーの手」で幻想にもどってはいけないんですよ、本当は。観客が混乱しますから。
「ホラー映画」であることにこだわりすぎちゃったんだと思いますよ。「ホラー」=「幽霊・怪物」ではないのに。

投稿: starless | 2006/01/21 11:14

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世界に広げよう,ジャパニーズ・ホラーの輪!!っちゅうことでしょうか、日本ですでに活躍している6人の監督に、世界を視野にいれたホラー映画を作ってもらおうぜと言う“Jホラーシアター”レーベル第一作。... [続きを読む]

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