トゥルー・コーリング
アメリカの連続テレビドラマ。
日本でもレンタルを中心にヒットしていたようです。
夏の終わり頃、遅ればせながらハードディスク・レコーダーを購入しました。これをつかってしまうと、もうVHSには戻れませんね。無限ではないものの、テープとは比べようがないほど大量に録画できますし、録った順番に見なくてもOK。画面に出てくる電子番組表なるもので録画予約も簡単。タイマーの時間あわせも定期的に自分でやっているようです。なんとも技術の進歩とは素晴らしいものですね。
その電子番組表を眺めているとき、テレビ東京で放送されていることに気がついたのが「トゥルー・コーリング」。以前評判になっていたことを思い出して、途中からですが見ることとしました(調べてみますと、どうも19話以降を見たようです)。
モルグ(死体安置所)で働くトゥルーは、死者の助けを求める声が聞こえるという特技(?)を持っています。さらに死者の声を聞いた彼女は、その日の朝に時を遡ってしまうのです。そして、死者を助けるべく(その人が死なないように)彼女が奮闘するというのが大まかなストーリーです。
基本的に毎回この展開なので、数回見て「もういいかな」とも思いました。時間を遡り、被害者(または殺人犯人)をさがし、つきまとって未来を変える。これだけですから。でも我慢してもう少し見ていると、おなじみの展開の中に色々なバリエーションをつけてきているのに気がつきました。
犯人がわからない場合、被害者がわからない場合、犯人も被害者もわからない場合。一番感心したのは、終盤で死者を助けそこなったときに、巻き添えで死んだ別の人に助けを求められて、もう一度やり直したときでしょうか。
トゥルーの同僚ジャックの正体が明かされた辺りから、ますます物語は面白くなります。やはり「超能力もの」は「善の超能力者対悪の超能力者」が一番盛り上がります。ただ本作の場合は、単純にジャックを「悪」としてしまっていいのかどうかが難しいところ。
タイムスリップにお詳しい方(?)はお気づきだと思いますが、トゥルーの「人助け」は未来に干渉しており、タイムパラドックスを発生させるものです。本来死ぬはずだった人を助けることで、あるべきであった未来を変えることとなってしまうのです。たとえばその人が死なないならば、死んだその人から助けを求められたというトゥルーの未来と整合性が取れなくなってしまうのです。
トゥルー同様に「やり直す力」を持ち、彼女が正義のために死者を助けて未来を変えることを妨害するジャックを単純に「悪」としていいのかどうか。彼の手段は「悪」であるかもしれませんが、「死ぬべき運命である人を死なせる」という彼の考えは、時の秩序を守ることであり、決して不当なものとはいえません。
「やり直す力を持つ者」の「正義派」と「秩序派」の戦いは以前から続いており、トゥルーの両親も父が「秩序派」、母が「正義派」として争っていたようで、母が父に倒されて「秩序派」が勝利したようです。そしてシリーズの終盤は、ジャックとトゥルー父の「秩序派」とトゥルーの「正義派」の戦いが主軸となり、かなりの盛り上がりを見せます。
ただ、どうもこのシリーズは26話をもって「打ち切り」となってしまったようで、最終回は何とも中途半端な感じとなっています。個人的には第24話の白血病の人の話あたりがクライマックスでしたね。
しかし、この戦いは決着がつかなくてよかったかなとも思います。「身勝手な正義」と「冷酷な秩序」、どちらがいいとも言えませんよね。密かにジャックを応援していた私は、ちょっとホッとしています。だって結局はトゥルーが勝ちますよね、最後までやれば。
さて、つぎは「24」のサードシーズンがハードディスクの中で待っています。24時間は長いなぁ。
ところで、やはりジャックとトゥルーは兄妹だと思いませんか?
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コメント
トラックバックとコメント、ありがとうございました。
うちも去年の夏からHDD付DVDレコーダーを愛用しているのですが、画像が綺麗な上に、録画中に他の録画済番組やDVDを観ること、追っかけ再生ができるなど使い勝手がよく、もうビデオに戻ることはないな~と思いましたね。
便利な時代になりました。
さて、「トゥルー・コーリング」ですが、大体の人が「同じパターンの一話完結だな」と思いつつ観ていたのが、途中からサブストーリーの進展や「助ける」バリエーションの変化、ジャックの登場で、「もしかしたらすごく面白いかも」と思うようになったみたいですね。(私もそのクチです)
レビューに書かれているように、私もジャックの方が正しいことをしているんじゃないか?と思っているクチです。
とはいえ、白血病の女性を展望台から落としてしまったのは・・・。殺人ですよね。トゥルーも彼女がもともと死ぬ運命にあったのを知っていたから、警察に通報しなかったのでしょうが、あれはれっきとした殺人のような・・・。(汗)
あとハリソン(弟)の代わりにトゥルーの彼氏が死ぬように仕向けたのも強引だな・・・と。「誰が死ぬか」より「死ぬ人数」を合わせればそれでいいのかって感じがしまして・・・。
ジャックのやり方があまりに強引なので、心から応援する気にはなれないのです。
せめて映画でもいいから物語を完結させて欲しいという署名活動がアメリカのみならず、日本、イタリアなどいろんな国で展開しているようです。
私もダンナにこれを観せたいし、DVDの売上が製作再開に繋がるかもと思い、廉価版をそろえようかなと野望をつのらせています。(笑)
ジャックとトゥルーが兄弟ですか。
だとしたら、父親が同じで母親が違う兄弟ですね。
相反する能力を持つ父と母から相反する能力を持つ兄妹が生まれるのは理にかなってますね。
トゥルーの母親と結婚する前に父親が他の女性との間にジャックをもうけたと考えると、充分ありえそうな話だし、展開的にも面白いです。
考えたこともありませんでしたが、シリーズが続いていたら、そういう展開になったかもしれませんね。(うんうん)
投稿: つっきー | 2005/10/15 20:50
>つっきーさん
コメントありがとうございます。
> 心から応援する気にはなれない
そう、ジャックもトゥルーもどちらも心から応援する気になれないんですよね。
> 兄妹
ジャックとトゥルーの能力が相反するものなのかどうか。実際、ジャックが先に戻りトゥルーがついていくストーリーもありましたし、本質的には同じ能力じゃないのかと思うんですよね。
で、トゥルーが戻るとジャックがついていくのは、ジャックが邪魔をするために戻っているというよりも、トゥルーが戻ったことに「共鳴」してジャックも戻っているのでは、というのが私の想像です。
ドラマでは「共鳴」した2人が違う思想を持っているために争うわけですが、2人が同じ思想を持っているならば、2人が助け合うことで、死者を助ける(又は助けない)行為は容易になるわけです。
そして肉親などのかなり近い関係にある者同士がこの「共鳴」を起こすのではないでしょうか。
> 完結
結局どちらを勝たせたらいいのでしょうね。続きを見たい気もしますが、どんな結末を見たいのかがよくわかりません。
投稿: starless | 2005/10/15 23:14
トゥルーとジャックが共鳴し合う関係というのは納得ですね。
ただ後からくっついて時間が戻る方はトゥルーも言ってましたが、「心が冷たくなるような、すごく嫌な感じ」らしく、ゆえにジャックは望まぬタイムスリップを繰り返しているわけで、思想も冷酷になってきて当然かも。
二人が同じ思想をもって「死者を助けない」なら、そもそもタイムスリップ自体が不要になってしまいますね。(笑)
ストーリーの破綻。(爆)
大体、死者を助けるだけでなく、トゥルーはその日に起こることを他の人にも(もっぱらハリソンとデイビスですが)アドバイスしてますから、これだけでもかなり罪な感じがします。
ギャンブルに悪用していないのがせめてもの救いかな。(もっとも何回か利用してますが)
勝手に結末を考えてみました。
ジャックに初めて心から愛する女性ができた。が、彼女は不慮の事故で亡くなり、モルグに運び込まれる。
トゥルーは彼女から助けを求められ、ジャックの恋人とは知らずに助けようと奔走する。
ジャックも今回ばかりは助けて欲しいと願い、邪魔をせず、無事、彼女の死は回避される。
ところが直後に大惨事が起こり、多数の死者が出る。そしてその大惨事の原因が自分が助けてしまった彼女のせいだと知る。
多数の死者たちから「助け」を求められ、再び一日をやり直すトゥルー。
しかし最初の死者を助けると大惨事が起こることを知っているため、トゥルーとジャックは彼女を助けないという苦渋の決断をする。
そして大惨事を未然に防ぎ、あらためて二人はお互いの能力について話し合い、理解し合う。
すると二人から能力は消え、二度と死者の声を聞くことはなくなった・・・。
うーん、ありがちだ。こんなのはどうでしょう?
トゥルーの父親が死んだ。
助けの声を聞いたトゥルーは時間をさかのぼり助けようとするが、そこへジャックが現れて、父と母の関係、父とジャックの関係などすべての真実を聞かされる。
「助けを求めたかもしれないが、助けられることは望んでいないはずだ」とジャックに諭され、トゥルーは苦渋の決断をする。
その日を境に二人から能力が消え、再び死者の声を聞くことはなくなった・・・。
結局、二人から能力がなくなるのが一番だと思うんですよね。
でなければ、トゥルーが死んで、ジャックがトゥルーの死をスルーするか。(洒落?)
長々と失礼いたしました。(ペコリ)
投稿: つっきー | 2005/10/16 12:37
> 勝手に結末を考えてみました
つっきーさんにばかり考えてもらってはいけないと思い、1日ばかり考えてみたのですが、どうも浮かびません。
個人的には、やはり一番強力な力を持つと思われるおやじvsトゥルー・ジャック連合軍の戦いを期待したいですね。どうせならハリソンも覚醒して、「おまえをバカにしていた奴らを見返すんだ」などと吹き込まれておやじ側につくのもいいかも。
でもこの人達の超能力って、幻魔大戦みたいに「サイキック・ウォーズ」って感じじゃないですからね。朝に戻って走り回るだけですから。
結局、なぜこのような「力」を持つに至ったか、という部分が謎のままなので、結末を思い浮かべることができないのです。
実は、「強力な力を手にした人間は、善の側につくのか、悪の側につくのか、そしてそもそも善悪とはなんなのか?」といった、哲学的なドラマだったりして。
それだったらこのままの終わり方でもいいかもしれませんねぇ。
投稿: starless | 2005/10/17 23:06