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2005/09/26

ロボコップ

robo ポール・ヴァンホーヴェン監督のSFアクション。

凶悪犯罪が多発する近未来のデトロイトでは、警察業務は大企業のオムニ社に業務委託されていた(「民営化」ですね)。より強力な警察力を得るために、オムニ社では警備ロボットを試作するも失敗。そして生身の人間を利用したサイボーグ警官「ロボコップ」を実戦配備する計画をたてた。

一見ヒーローものに思えるこの映画。しかし映画から受ける印象は、通常のヒーローものの映画とは大きく異なります。

犯罪者が悪者として描かれているのは当たり前ですが、対するオムニ社側も善人としてではなく、非常に欲深な「嫌なヤツ」として描かれています。主人公であるロボコップは人間時代の記憶を失っており、プログラムされたとおりに「機械のように」業務を遂行します。つまり観客が感情移入して見る主体が欠けているのです。

これはヴァンホーヴェン監督の映画の特徴なのかもしれません。映画の中で幅を利かせているのは悪人と愚か者。善人は息を潜めて小さくなっているばかり。これが監督の見る現代社会の姿なのでしょうか。

もうひとつのヴァンホーヴェン監督の特徴ともいえるのが、悪趣味なまでのヴァイオレンス描写です。その描写のねちっこさは、たとえば「ターミネーター」等のようなメインストリームの映画と比べれば明らかでしょう。

皮肉な世界観と悪趣味なヴァイオレンス描写がこの映画を「B級」っぽく感じさせますが、映画の出来は悪くありません。警官時代の記憶を失っているロボコップが、無意識に見せる拳銃さばきから元の同僚に正体を悟られるところ等、小さな伏線も随所に効いています。警備ロボットとの戦闘の顛末も、ハラハラさせながらも笑わせますし、ラストの「変形ロボット3原則」のようなオチも爽快です。「出来は悪くない」どころかとても面白い映画だといっていいでしょう。

多分、ヴァンホーヴェン監督って凄く映画作りが上手な監督なんでしょうね。もう少しその世界観を柔らかくして悪趣味な描写を控えて映画を作れば、映画監督として大成功することもできたんじゃないでしょうか。

売れることより作家性を選んでいるのは立派なことですけれども、ちょっともったいない気もしますね。今後も気をつけていたい監督です。

#046

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コメント

これは映画館にも行きましたし、LDも買って何度も観直してしまいました。

当時CMで観たときには太った警察ロボットがED209と戦ってたりして、これはB級かな?と思ったものでした。
ところが蓋を開けてびっくり、強烈なバイオレンス描写を持ちながらも、自我を取り戻すマーフィの人生に涙しました。いろいろと張り巡らされた伏線の扱いもよかったですね。
私もオススメの一品でした。

※トラックバックありがとうございました。こちらからもさせて頂きました。

投稿: ぽこ | 2005/09/26 22:43

ご無沙汰しております、つっきーです。
ぼちぼちブログの更新も始めました。
またごひいきにしていただけるとありがたいです。

ヴァーホーヴェン監督、今、ちょっと調べたら、もう67歳になっていらっしゃるんですね。
ちょっと驚きました。
ハリウッドに招かれても、我が道を突き進むスタイルは高く評価してあげたいです。

にしても、「スターシップ・トゥルーパーズ」はなぁ・・・。(苦笑)
「氷の微笑」とか「ショーガール」とか作品の方向性に一貫性がないのもこの監督の面白さ、ですね。
次はどんな仕掛けをしてくるのか楽しみなんですが、ちょっとご無沙汰で心配です・・・。

投稿: つっきー | 2005/09/26 22:58

>ぽこさん
マーフィーに感傷的なセリフがあるわけでもないのに、マーフィーの悲しみをしっかりと伝えてくるところは上手かったですね。
それにしてもLDまでお買いあげとは、意外とロボット好きのツボにはまる映画なのですね。やはり「かくかく」がかわいいのでしょうか?とんだ暴れん坊ですけど。家の中でミサイル撃つのはやめてほしいものです。

>つっきーさん
わたくしも9月はあまり記事も書けず、やっと3つめをなんとか書きあげました。
しかし67歳とはびっくりです。そろそろ引退ですかねぇ。
「スターシップ・トゥルーパーズ」は当時悪趣味な知人と一緒に映画館に行きました。よく行ったなあ、虫嫌いなのに。

投稿: starless | 2005/09/27 00:03

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市街の治安を守るプログラム、ロボコップ。 近未来、犯罪都市デトロイト。今日もまた警官が殺される事件が勃発、容疑者はクラレンス(カートウッド・スミス)という男、彼はこれまでになんと31人もの警官を殺した容疑を持っていました。 この地に未来の理想都市デルタシテ..... [続きを読む]

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