キル・ビルVol.2
クエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」、完結編です。
着実に復讐を重ねる「ザ・ブライド」。そして、いよいよ彼女は「ビル」のもとにたどり着く。
タイトルに「Vol.2」とあるように、「キル・ビルVol.1」の続きにあたる作品です。というよりも、「キル・ビルの後編」といったほうがよいでしょう。いわゆる「続編もの」ではありませんので、「Vol.1」を見ていない人は絶対見てはいけません。見ても意味が解りません。連続ドラマを途中から見るようなものです。
「1」で2人倒しましたので、「2」では残りの3人(バド、エル、ビル)との戦いとなります。
しかしこの映画、進むに従ってどんどんスローダウンしますね。「1」の冒頭のスピード感は一体どこへ行ってしまったのでしょう。「2」では「パイ・メイ」のエピソードが長い長い。エル戦、ビル戦の伏線になるのはわかるのですが、それにしてもあんな長さは必要ないでしょう。いい加減に話を忘れてきた頃に、ようやく復讐が始まるわけですが、次のバド戦は不戦勝。そして次のエル戦が本作のハイライトでしょうね。
最後は本来クライマックスになるべきビル戦ですが、これがまた長い。戦って長いならともかく、ほとんどは痴話喧嘩。最後になってじっくり会話に時間をかけ、娘まで出して人間ドラマ盛り上げようとしても、そりゃ無理ってもんですよ。やはり「ドラマ」にしようと思ったら、それなりに常識的な演出が必要でしょ。「1」であれだけ自分勝手な演出で客を置き去りにしておいて、最後に「さぁ感動して」って言われてもねぇ。
この映画を見て思ったのは「あまりにも違う要素を一本の映画に入れてはいけない」ということです。監督が自分の好きなものを全て入れたかったのはわかりますが、非常識なところは非常識さを楽しみ、常識的なドラマの部分は常識的に楽しむ、というのでは一本の映画としてはどうなのでしょう?それなら最初からオムニバスにすればよかったのです。結局は部分部分では楽しめても、一本の映画としてみると?な作品になってしまいます。
最近DVDによくついている「未公開シーン」などをみると、「意味のあるシーンだが、映画のテンポが悪くなるのでカットした」などと話す監督が結構多いようです。せっかく撮影したシーンを犠牲にしてまで維持しなければならないほど、映画にとって「テンポ」が大事だと言うことでしょう。
タランティーノ監督にも、もう少しテンポを大切にして欲しいです。
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コメント
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バド戦、あそこでちょっとがっかりしたのです。やっぱりブライドがちゃんと復讐するのを観たかったです。不戦勝になるとは。
1とはあまりにも違ったテイストで、ほとんどの人たちがびっくりしたのではないでしょうか。
やっぱりそういうものや、starlessさんがおっしゃっているようにテンポは大事にしてほしいですね。
ところでエル戦の続きは3で実現されるのでしょうか(笑)。
投稿: ぽこ | 2005/07/26 00:05
「3」などという話が?
じゃあ、エルが座頭市になるのですね。
…絶対見ませんよ、そんなの(笑)。
「CUBE3」は見ると思いますけど。
投稿: starless | 2005/07/26 20:14